内容説明
シリーズ累計50万部突破!社会派ヒューマンミステリーの金字塔、ついに最終章へ
在りし日の友情と恋。立ちはだかる悔恨と贖罪。
選ぶべき自分は刑事か、友か――
災害公営住宅への移転に伴い解体作業が進む仮設住宅の一室で見つかった他殺体。発見場所は出入り口がすべて施錠された完全密室、被害者は町役場の仮設住民の担当者だった。宮城県警の笘篠誠一郎刑事と蓮田将悟刑事は仮設住民と被害者とのトラブルの可能性を想定し、捜査にあたる。そこで遭遇したのは、蓮田にとって忘れがたい決別した過去に関わ
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
夢追人009
262
中山七里さんの東日本大震災をテーマに据えた「宮城県警シリーズ」3部作の完結編ですね。仮設住宅の内部で起きた密室殺人事件。被災地で金儲けを企む悪い奴らの醜い構図。密室トリックと意外な犯人の趣向はミステリーとしてまずまずの満足感が得られました。しかし人間ドラマとしては未完の不満が残りました。過去の不幸な事情により決裂した人間関係が修復されず平行線のままなのが悲しいです。互いに歩み寄って友情を取り戻す物語を著者には書いて欲しかったですね。未来に希望を抱かせ心の通うストーリーを望みますね。#NetGalleyJP2024/04/06
starbro
229
中山 七里は、新作をコンスタントに読んでいる作家です。「宮城県警シリーズ」第三弾、東日本大震災幼馴染彷徨群像劇ミステリでした。三部作で完結の様ですが、何か違う感じがします。 https://www.nhk-book.co.jp/detail/000000057412024.html2024/02/15
いつでも母さん
185
「わたし以外に助ける人間がいなかったからです」この言葉をどう受け止める?笘篠刑事の『宮城県警シリーズ三部作堂々の完結編』とある。完結なの?そうか、そうなんだね。このシリーズはどれも辛さが勝る。本作も被災者とそうでない者の境目を感じるのが切ない。誰の所為でもない災害だったのに、生き残った者が負い目に感じる現実は苦しい。皆が願っているのは間違いないのに何をもって『復興』と言うのだろう・・事件の真相はあっけなく、だから余計にリアルも感じる。そう、人は脆いのだ。色んなものがギューッと詰まって読み応えがあった。2024/02/13
hirokun
106
★4 中山さんの社会派警察小説。東日本大震災の復興エリアを背景としているが、その割には良い意味で震災関連色は強くなかった。学生時代の親友たちとの人間関係を追っかけながら展開されるストーリーは、スピード感持って一気読みさせてくれた。少し作品の本筋とはずれるが、行政が復興支援を行っていく上でどのような範囲まで対応していくかということは今後も様々な災害が頻発していく中において重要なテーマであり今の時期にこそ考えておく必要があると痛感した。2024/02/16
タイ子
104
宮城県警シリーズ第三弾にて完結編。東日本震災から13年。復興していく街の中で未だ仮設住宅に身を置いている人もいる。災害公営住宅への移転の話を進める町役場の担当者が殺された。密室の仮設住宅の一室で。宮城県警の笘篠、蓮田両刑事が捜査に乗り出す。そこで出会った蓮田の幼馴染みたち3人の男女。過去に遺恨を抱えた彼らが懐かしい再会を果たす時、若き日の後悔と贖罪の思いが蘇る。刑事の身分と友情を天秤にかけなければいけない葛藤。災害復興の影で蠢く利益優先の者たちがいる。復興の中でただ前進してきた人間たちが逞しく映る。2024/03/16