内容説明
花と猫を愛する日々を綴った「熊本暮らし」随想集。 【村上春樹さんお薦め】
8 歳で上京、64 歳で帰郷した吉本由美さんが綴る熊本は、かつての記憶と未知の魅力が併存する街。他界した親から譲り受けた「実家」での庭造りや多くの猫との暮らし、新たな友人たちと展開するイベントや市政への参加などに、老いの問題をまじえて、リズム感とユーモア溢れる筆致で記す。
熊本で生まれ、市内で書店を営む田尻さんは最近、祖父母が暮らしたエリアに住まいを移した。子ども時代を過ごした山や池が残る地域での新しい暮らしを軸
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
アキ
104
手にとって装丁の手触りと表紙の水彩画、そして一度だけお会いしてお話しをしたことがある田尻久子さんの本だったので、お気に入りの書店で購入しました。東京暮らしで、60代に熊本に帰り暮らすようになった吉本由美さんと田尻さんとの往復エッセイで、日々のなんということもない徒然が綴られているだけなのですが、読んでいるととても穏やかな気持ちになります。表紙の絵を描いた坂口恭平さんもお近くにお住まいで、飲み水がすべて湧き水である熊本の素敵な街をまた訪れたくなりました。裏表紙の江津湖や白川、そして阿蘇にもまた行きたいなあ。2024/04/15
pohcho
52
吉本由美さんと田尻久子さん。熊本県在住の二人が交互に綴った日々のエッセイ。「かわりばんこ」という言葉が可愛い。往復書簡ではなくお互いに自由に書いてらっしゃるのだが、月と猫を愛するお二人の文章にはどこか通ずるものがあり。年齢は離れているけど気の合うお友達なんだろうな。藤の花の天ぷら、裏山での花見などの交流も楽しそうでよかった。熊本には一度も行ったことがないので、「橙書店」にいつか行ってみたい。2024/05/29
rors(セナ)
23
吉本由美さんと田尻久子さんお二人が、日々の暮らしをそれぞれに交互に綴るエッセイ。熊本には行ったことがないけれど、とても優しくお二人の暮らす世界が私の頭の中で立ち上がっていく。とても穏やかな内容。本の装丁に使われている坂口恭平さんの絵も良い。 吉本さんの「ただいま老人特訓中」がなんだかとても良かった。橙書店、行ってみたいなぁ。2024/05/29
tetsubun1000mg
23
故郷の商店街で、地元の古書店さんたちがカラーボックスと小さな台におすすめ本を並べたイベントで「橙書店 オレンジ」という店名を記憶していた。 ご自分でもエッセイを書いたり文芸誌「アルテリ」を発行・編集しているという地元にずっといる田尻さんと、東京で雑誌編集やスタイリストをした後に故郷の熊本市に帰った吉本さんの交換エッセイ集。 お二人は20歳ほど年は違うが植物や鳥など自然を愛するなど共通点があるからか、とても気持ちよく読める。 熊本市を離れて半世紀が近づいているが、故郷の風景と地元の人柄が感じられる本でした2024/03/01
阿部義彦
22
共に熊本市生まれで、現在熊本在住のインテリア・スタイリスト兼作家の吉元由美(現在75歳!)さんと、橙書店オレンジの店主であり文芸誌『アルテリ』の発行者、責任編集もつとめる田尻久子さんが、隔月毎にweb連載したエッセイ集。同じ街に暮らす二人の女性の出会いから、各々の暮らしを綴って居ます。都会の喧騒から遠く離れて、自然の豊かな描写(庭仕事、鳥や飼い猫達)が肩肘を張らずに文章化されて今や自然は何て贅沢なものなのだなあと思う事しきり、同郷の坂口恭平さんも登場、表紙のイラストまで提供。村上春樹の推薦帯も。2024/04/01