内容説明
40億、121、79000――国家の命運は人口が握る! 気鋭の人口学者による大胆な未来予測
超大国になるか発展途上のままか、経済的に豊かになるか貧困にあえぐか
○少子化は政策より個人の思想が影響する
○高齢化が進むと紛争が減る
○超高齢化社会・日本は未来の象徴
今後の社会を読み解くうえで多くの示唆を与えるユニークな教養書。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
よっち
40
超大国になるか発展途上のままか、経済的に豊かになるか貧困にあえぐか。国家の命運は人口が握る。今後の社会を読み解くうえで多くの示唆を与える人口学者による大胆な未来予測。乳幼児死亡率の低下、人口爆発後の人口ボーナス、急速な都市化の影響、出生率が低い社会の共通点、高齢化社会と暴力の関係、超高齢化社会の日本、人口減少が進む先進国、移民・人種問題と民族構成の変化、教育の発展が国にもたらす影響、人類の食料危機など、人口問題にまつわる10のポイントで増減する要素を解説していて、アフリカの動向が今後の鍵を握りそうですね。2024/02/24
ta_chanko
26
70億を超えた世界人口は、今後おそらく100億近くまで増え、その後減少に転ずる。サハラ以南のアフリカやイスラエルを除く多くの国で合計特殊出生率は人口置換水準2.0に近づき、先進国では、すでに人口減少に転じている。世界は高齢化が進んでいて、破滅的な戦争や紛争、革命などは起きにくくなっている。先進国では今後、労働者の不足や経済の縮小が問題となる。欧米では白人の割合が低下し、国家としてのアイデンティティが問題となる。「マルサスの罠」は起こらず、窒素肥料の発明や緑の革命により食糧生産は大きく向上してきた。2024/03/22
ossan12345
14
人口が世界の未来に及ぼす影響を多角的視点で考察する良書。出生率、死亡率、移民、民族構成など様々な側面で切り分けて現状と未来を語るなかで、経済力を犠牲にして、民族性とエゴイズムを維持した代表的な事例として、たびたび日本が取り上げられるのが興味深い。教育が行きわたって豊かになるが、合計特殊出生率は人口置換水準を下回り、男性にも女性にも多くの子供を育てる時間的・金銭的余裕がない、という筆者の表現は日本の現状を正確に表している。一方、アフリカや、グローバスサウスの雄としてのインドの発展性には期待したいところだ。2024/03/16
まゆまゆ
10
世界の人口動態について、様々な要因による過去と未来について考察していく内容。多くの国で経済発展により出生率と死亡率が下がっている。世界人口の増加はこれからも続くが、いつか減少が始まるときには子どもの数は今の半分程度になっている可能性も。人口動態は経済力、民族性、エゴイズムのトリレンマによって決まる。日本は経済力を諦めて民族性とエゴイズムを重視している、との指摘には納得。2024/03/27
小鳥遊 和
8
日本に関する記述が多く、勉強になる。曰く、日本は民族的連続性と社会的エゴイズムを優先していて(=外国から労働者を呼ばず、子供を産み育てる方向への変容も進まず)、経済成長を犠牲にし、長期停滞に陥っている(=高齢化と、投資の低リスク志向が悪循環をきたしている)。そのため、人口減少が科学の進歩を追い越していて、民族消滅の可能性さえあるとのこと。総人口の推移を図示して語られると、同感というほかはない。日本の将来は諦めたとして、次に気になるのが世界全体が「日本化」して人類消滅に至るのか、である。(続く)2024/04/07