内容説明
お骨でできた仏像、人とのつながりの希薄さが生む孤独死の問題、ハイテクを組み合わせた最新葬祭業界の実情……。作家、ときどき写真家がカメラを抱えて迷い込んだ“エンディングノート”をめぐる17の旅。「死とその周辺」がテーマの取材は、かつて経験した九死に一生の出来事、異国で出合った変わった葬送、鬼籍に入った友人たちの思い出などと重なり、やがて真剣に「自分の仕舞い方」と向き合うことになる。そしてシーナが見出した新たな命の風景とは? 巻末に朋友、北上次郎の死についての想いを書いた「さらば友よ~文庫版のためのあとがき」を収録。
目次
「死」を知る生物
念願のお骨佛をおがみに
家のいのち
遺骸と地獄好き
四万十川での死
孤立死はいやだ
身のまわりの「死」のことなど
多死社会を迎えうつ葬祭業界
遺言状と死にそうになった話
葬列の記憶
鳥葬へのあこがれ
東京のイスラム教モスクに行く
墓のない国
ハイテク納骨堂の周辺
骨を喰らう。骨を撒く
遺言未満
八丈島の海へ~あとがきにかえて
さらば友よ~文庫版のためのあとがき
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
kinkin
89
著者が「死」について考えたこと。「死」は人間以外の動物はいずれ死が訪れることは知っているのかと言う話は私もちょうど考えていたことだ。死ではないがうちの犬は目が見えなくて耳も遠い、それは犬にとってそれが異常なものなのか、やがてやってくると思っているのか、気になる。「葬送」についても書かれている。最近は知らずに亡くなって灰になってしまう。家族も親類も減ってしまった。高齢化に伴い火葬場が足らないと言う。本書ん書かれていた鳥葬が日本でも起きるのかもしれないな。2024/11/12
ゆいまある
78
椎名さんも死を意識する年になった。元々堅苦しいことや押し付けられることは苦手である。病院で受けたくもない治療を受け、無宗教なのに坊さんを呼んで先祖代々の墓を拝み、大層な仏壇と暮らすという発想に馴染めない。そこで世界各国の葬儀について触れ、自分は散骨がいいや。という結論に達する。だがそこで世界がコロナ禍となる。人の死生観ががらりと変わり、死は身近になり、葬儀は簡素になり、墓は守り通すものではなくなった。あとがき中では目黒孝二の死に触れている。私も大人になったので椎名さんの逡巡がしっくりときた。【KU】2025/10/07
ちゃとら
45
よまにゃクリップブックマーカーに誘われて、久しぶりの椎名誠さん。興味深かったのは、世界のお墓と葬儀の情報。世界の中でも墓の値段が高い日本だが、最近は墓じまいも増えている。土葬、風葬、鳥葬、自然葬。宗教により土葬する時はまだ、少し息が残っているうちに?😱土地によっては何十年も凍ったままの状態。私は死んで、産業廃棄物と同じ扱いになったら、海に撒いてもらいたいと、ずっと思ってきた。これも信託する時代になるのかしら、色々な葬儀が面白かった。2024/08/21
時代
15
私事ではあるが、先月末に父親が逝った。突然にあっさりと。まだうまく受け入れられていない。椎名さんと同じ年代だった。人はいつかは死ぬんだな。ここに書かれていた葬儀業界の話や、自然散骨の話など、ある意味参考になりました。椎名さんはまだまだ長生きしてくださいね。2023/12/19
ikedama99
13
読めば椎名さんの文章。でも、タイトルと扱っている内容は「うーん、そうか」と思ったりもする。ただ、椎名さんは日本中、世界中あちこち回っているので、いざ話題にしようとすると、この「死」、「葬儀」に関することもいろいろと体験はしているので、話としては面白い。「家のいのち」、「ハイテク納骨堂の周辺」などは、特に面白かった。あとがきで目黒考二さんが亡くなったことにふれられていた。あの「釜たきメグロ」さん・・と思って、寂しくなった。この型の関わった本も読んでみたい。 2024/07/18
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