内容説明
島津は、島津の戦いをするのみだ!
精鋭・島津家を自陣に引き込もうと策を巡らす家康と三成。決戦の終幕、家康の眼前を平然と進軍する義弘率いる島津勢の豪胆さに東軍は震撼した。家康が屈した、寸土の領地も与えぬ知略を尽くした戦後の外交戦。
「敗者の勝利」を描く歴史巨編。
九州統一を目前にして意気あがる島津家の前に、豊臣秀吉の大軍が迫る。常に最前線に立つ闘将・義弘。国内安定を優先する知将・義久。両雄の狭間で悩む若き後継者・忠恒。兄弟と親子は時に対立しつつも、運命の一戦に挑む。
壮大なスケールで戦国島津一族の激戦を描く歴史小説。
感想・レビュー
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Ryo0809
2
老醜を晒した秀吉が没し、野心を露わす家康。その術策に嵌り、ついに決起する石田三成。東西どちらかにつくか、本宗家とは異なる決断を迫られる義弘。島津の誇りを掲げ、敗地から虎口を突破して薩摩に戻った義弘は、家康の圧力にも果然として対抗する。戦上手だけでなく、外交にも優れた手腕を発揮した義弘だったが、島津家の統制と存続をかけて、同族の伊集院忠眞を殺める…。武と知。誇りと汚れ。誉れと穢れ。島津の危難に立ち向かった武将の半生を生き活きと描き、その後、明治維新に続く礎を築いた漢の物語といえよう。2024/02/19