楠木正成 知られざる実像に迫る

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楠木正成 知られざる実像に迫る

  • ISBN:9784826507264

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内容説明

日本史上屈指の名将、「大楠公」楠木正成。記録上の活動期間はわずか五年に満たず、その実態はベールに包まれている。日本中世史研究者で楠木正成の再評価の第一人者である生駒孝臣による、『太平記』『梅松論』の検討に加え、実証研究をもとに楠木正成の実像に迫る論考。さらに、明治以降の千早赤阪村周辺の顕彰活動を尾谷雅比古がまとめた論考も収録。楠木正成の過去の実像と現在の受容をまとめた一冊。



南北朝時代から明治維新にいたるまで日本史上最大の名将とうたわれた楠木正成は、明治以降は「大楠公」と称され皇国史観のもとで忠臣としての側面が過剰に評価され、戦後になるとそれが反転して「悪党」のイメージが押し出されるようになってきた。このように時代の背景によって評価が変転してきたことが、楠木正成の実像の把握を難しくしている。しかし近年の実証主義的な研究が進むにつれ、『太平記』に描かれている英雄的描写だけではなく、武将・官僚・商人など、多面的な顔と才能を持つ人物であったことが明らかになってきている。また、楠木正成が活動し、楠公誕生地や国史跡の千早城跡などがある千早赤阪村では「千早赤阪楠公史跡保存会」が結成され、正成ゆかりの地を整備し、普及活動に努めている。



日本中世史研究者で楠木正成の再評価の第一人者である生駒孝臣による、『太平記』『梅松論』の検討に加え、実証研究をもとに楠木正成の実像に迫る論考。さらに、明治以降の千早赤阪村周辺の顕彰活動を尾谷雅比古がまとめた論考も収録。楠木正成の過去の実像と現在の受容をまとめた一冊。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

なつきネコ@成長した化け猫 久びさの成長

36
たしかに書かれていることは楠木正成の実像をまとめようとした解説書だ。悪党・楠木正成と、忠臣・楠木正成など、いろいろな見方をつまみ食いし、実像をとらえた印象。楠木正成は難しい武将だ。四條畷には楠木正成の勤王精神と儒教精神を復活させようなんて書かれているのをみたことがあり、どうしてもそちらにブレる。左にブレすぎると味気ない。本当に難しい。 目新しさはなかったかな〜 いや、千早赤阪村での楠木正成の顕彰史は目新しかった大久保利通、五代才助、桃井直正、富岡鉄斎など関わり、皇族も巻き込み象徴化していったんだな。 2024/12/09

サケ太

22
生駒先生による、楠木正成の実像が読みやすくまとまった一冊。大きすぎる虚像が覆う人物の生涯を俯瞰して見れる。正成入門としてはかなり良いのでは。自分は、建武の新政における正成の具体的な優遇具合については知らなかったので驚いた。正成が顕彰されていった過程についても書かれている。良い1冊だった。2021/11/18

のれん

12
楠木正成中心の解説本だが、個人的には新鮮なテーマはなかった。 戦前で作り上げられた忠臣像の虚像っぷりと少数で粘り勝つ籠城とゲリラ戦を記述する太平記を考察する類いは今まで何冊もの正成解説で通った道である。 その考察の視点が違うわけでもないし、全体的に俯瞰してるため深いわけでもない。 辛辣に書いたが、逆に楠木正成について何も知らないなら、非常に分かりやすくまとめられた人物紹介本でもある。特に出生地である千早赤坂の史跡協会が出版してるので現地写真も多い。 大楠公ファンなら買っといても損はなし、といったところか。2021/12/04

浅香山三郎

11
近年、かつての忠臣としての楠公像を見直し、史料からみた楠木氏の歴史像を提示している生駒氏と、楠公の顕彰そのものを歴史的事象として検討する尾谷氏による論考。一般向けに、近年の研究を踏まへた楠木氏のすがたを紹介する本として、適切な構成となつてゐる。生駒論考は、楠木氏がもともと何らかの形で鎌倉幕府の関係者(得宗被官説もある)であつたとみてよく、やがて「悪党」的な畿内武士とのネットワークをもつてゐたことなどをはじめ、その性格と地域社会との連関をまとめ直し提示してゐる。また、尾谷論考は、南河内の楠公史跡の指定と↓2021/11/13

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