内容説明
四半世紀分のキシモトワールド
リディア・デイヴィス、ルシア・ベルリンなど数々の名翻訳で知られる著者は、エッセイストとしても絶大な人気を誇る。本書はデビューエッセイ集『気になる部分』(白水社刊、2000年)以降に様々なメディアに寄稿した、単行本未収録の文章を集大成したものだ。
全三章で構成。第一章は、「前世が見える」という人に教わった著者の前世の物語「わからない」、一度も訪れたことのない場所を精緻な妄想で描写する「ここ行ったことない」等、ヴァラエティ豊かなエッセイを集める。
第二章は、書評の意味を崩壊させてしまった伝説の朝日新聞連載「ベストセラー快読」、子供のころ猿のように繰り返し読んでいた本を今読んだらどうなるのか実験した「もう一度読んでみた」等、本にまつわる文章でまとめた。
さらに第三章として、キシモトワールドのエッセンスを凝縮したようなウェブ日記「実録・気になる部分」等、2000年代の「日記」を収録。いずれの章も、抱腹絶倒、奇想天外、虚実の境をまたぎ越す著者の真骨頂が堪能できる。
危険防止のため、電車の中では読むことをお控えください。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
青乃108号
206
驚いたのはその厚さ。3cm程もある。エッセイ本でこのごつさはおよそ見たことがない。読みきれる気がせず暫く放置する。圧に負けて漸く読み始める。2000年から最近までの単行本未掲載の原稿が①エッセイ②書評など③日記と3部構成で。一旦読み始めるといつもの岸本ワールド、面白い。岸本さんと俺はほぼ同世代で共通した点も幾つかある事を知る。①英文科専攻(俺は5年で中退したが)②子供時代の愛読書がルナールの「にんじん」(繰り返し何度も読んだ)③中学から筒井康隆にハマる。岸本さんは一流翻訳家、一方俺は。どうしてこうなった。2026/08/21
ネギっ子gen
116
【見本刷り出来。嬉しい。装丁も気に入った。でもなぜかそのあと落ち込む。自分で自分がわからない】名翻訳家のエッセイ集。日記より。<夕方、気晴らしの必要を感じて新宿を徘徊。紀伊国屋地下の石屋で匂玉を買うなど、無意味な行為をする。化石コーナーで気になったのは“マンモスの毛”。ほにゃほにゃの柔らかい毛ひとちぎりに剛毛一本つきで千五百円、は高いのか安いのか。平積みになっていた文庫本のタイトル、『好き嫌いで決めろ!』。本当にその通りだと思う。たぶんこの本にはタイトル以上のことは書いていない>と。370頁の神推し本!⇒2024/07/11
アキ
103
岸本佐和子はルシア・ベルリンの翻訳を読んで以来、信頼のおける翻訳家として注目してます。そんな彼女のエッセイは変にひねくれていて、毒気のあるユーモアがあって中毒性があります。表紙の絵は、MOMAで開かれた展覧会で見たブラジルの女性画家の「眠り」という作品で、ずっと頭から離れなかったらしい。2000年から最近のものまで収録されているので、雑駁な印象だが、やっぱり翻訳家だけに「翻訳小説食わず嫌いにとりあえずお勧めしたい何冊か」は参考にさせていただきます。Ⅲの日記はおまけの様ですが、偽日記ではないでしょうねぇ。2024/07/17
tetsubun1000mg
94
昨年「なんらかの事情」を読んでから、岸本佐知子さんのエッセイは5冊目になった。 なんだか中毒性をもっているようで、時々妙に読みたくなってしまう。 今回は2000年頃からのエッセイや読書感想文?になぜか日記など、期間も幅も広く分量も多いので少しずつ読んでいく。 岸本佐知子のエッセイは外出先で読むと突然吹き出したり、バカ笑いをしてしまいそうで自分の部屋で読んでいた。 岸本さんが翻訳作業に煮詰まったときに読むコテコテの日本文学本とは違って、自身の読メ記録であんなの読んだなと思い出すぐらいが丁度いいかな。2025/03/10
どんぐり
94
回転寿司、ブータン、YRP野比、お台場に行ったことがないという岸本佐知子の最新エッセイ。本に関すること、メモ書きの日記が大半を占める。〈ベストセラー本快読〉には、タイトルを見るだけでも読む気力を失せる本が並ぶ。パンツやスカートを買うと、それに合う服がないと嘆き、服を買うと今度はそれに合わせる靴とバッグがないまま季節が終わっていく買い物下手の〈福助エルメス〉と〈回転寿司〉の話が面白い。〈YRP野比〉と〈宇宙戦争〉のトム・クルーズの話は前のエッセイでも読んだことがある。翻訳家の日常と思考がみえてくる本である。2024/10/02
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