内容説明
ライバル組織への復讐を果たし、日本人の想像を絶する方法で、警視庁からのパパリト奪還を急ぐリキ。そのさなか、迷子になった娘カーサーを保護した元刑事・若槻妙子と彼は出会った……。憎しみと悲しみ、そして諦めという人生の檻を破り、安らぎと光を追い求めた男と女。血と喧噪の旅路の果て、彼らに訪れた結末とは――。〈解説〉佐藤 究
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
Katsuto Yoshinaga
10
囚われのパパリトは、「エル・ハポネスは、どんな状況になっても決して裏切らない。部下を見捨てない。必ず救いの手を差し伸べてくれる」と信じている。そしてリキは、「裏切りと報復が日常的に支配しているコロンビア・マフィアの世界。全ての人間が常に不安に晒されている。そんな世界で息する男たちが、最も心の拠り所にするものは何か。ボスに求めるものは何か。信。その一字に尽きる」の信念のもと、パパリト奪還のため新宿北署を襲撃する。一気の銃撃戦に突入の下巻、台詞と独白とアクションシーンに痺れまくりである。いやあ、面白かった。2025/11/04
わらわら
10
「ゆりかごで眠れ」というタイトルから考える。ゆりかごで眠るって気持ちいい、ゆりかごで眠るって自然のままに眠れってことかなぁ。人はそれぞれのゆりかごをもっているのだろう。垣根氏は2002年のコロンビアを取材していると書かれている。この本を読み始めた時「ワイルド・ソウル」を思い出す。解説に両方読んで欲しいと書かれていた。冷酷無残なマフィアの組織には足を踏み入れたくはない。今のコロンビアは変化しているのだろうが…歌舞伎町の闇の部分に足を踏み入れるのも怖いと感じる。ゆりかごはやすらかで楽しい方がいいと思う。2024/02/05
オールド・ボリシェビク
4
破滅と破壊の物語は下巻に入って、その強度を増し、疾走する。多少の無理も感じられる展開といえないこともないが、このころの物語としては、圧倒的な面白さを秘めていたと思う。垣根涼介、結局は歴史小説で直木賞を受賞したわけだが、こちらのようなノワールというか、突っ走る物語の方が向いていると思うけどなあ。加齢によって、そういう物語も書けなくなってきたのかなあ。とにかく、一気読みでした。2024/02/08
北刻堂
3
警視庁に逮捕されたパパリトの奪還作戦が何とも壮絶で、ほとんど戦争ではないか!! モチーフになったコロンビアのコカイン・マフィアって、実在していた犯罪組織のようで、ライバル組織や警察との間で実際に壮絶な殺し合いが繰り広げられていたようで、創作の世界だけの話ではないところが恐ろしい。社会の最下層で極貧にあえぐ人々の問題が解決されない限り、こうした組織は形を変えて継続していくのだろうなぁ。2024/12/04
fukufuku
3
下巻では、戻っ巡査の妙子さんとリキ&カーサとの出会いがあり、武田の凋落、パパリト奪還作戦でクライマックス。エピローグは必然だろうと思いつつ、今後のカーサはどうなるのか心配。しかし、少女がめっちゃ”女”だった。垣根さんは歴史小説も面白いが、ノアールがやはり面白い。2024/07/01
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