書くことの不純

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書くことの不純

  • 著者名:角幡唯介【著】
  • 価格 ¥1,760(本体¥1,600)
  • 中央公論新社(2024/01発売)
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  • ISBN:9784120057373

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内容説明

こうして私はワイヤーにぶらさがって村にたどり着くことができ、結果、生きのこったわけだが、ここで問題になるのは、私がワイヤーをわたりきり、いわば死の瀬戸際から脱出したときに何を思ったのかだ。
私はこんなことを考えた。
もしワイヤーではなく、川を泳いで生きのこったら、そっちのほうが話は面白くなったんじゃないか?
そしてこんなことを考えている自分にゾッとした。(本文より)

生死の瀬戸際で、もう一人の自分が囁く「もっと面白くしよう」という誘い。書くことは不純だと言いながら、それでも書き続ける冒険家・角幡唯介がたどり着いた、行為する表現者の真髄とは。

【目次】
序 論 探検って社会の役に立ちますか?

第一部 行為と表現
 第一章 書くことの不純
 第二章 羽生の純粋と栗城の不純
 第三章 冒険芸術論

第二部 三島由紀夫の行為論
 第四章 届かないものについて
 第五章 世界を変えるのは認識か行為か
 第六章 実在の精髄
 第七章 年齢と永遠の美

あとがき あらためて書くことについて

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

メタボン

33
☆☆☆☆ 書くことも生業としている角幡は、冒険の最中でも表現者として「もっと極端な方へ」むかうべきだというベクトルと、生きようとするベクトルの相克に陥る、このギリギリのところに我々は感銘を受ける。本書は徹底してその理由について、三島由紀夫・開高健を引き合いにしながら探っていく。三島由紀夫の矛盾は興味深い。「書くことの不純」というタイトルもこの書を端的に表していて良い。冒険とそれを書くことを続けて来た角幡は、我々がたどり着けない高い境地に達し、だからこそ我々は彼の書く本を読みたくなるのだろう。2024/03/14

やっちゃん

18
外部に期待されたことを演出してしまうのはそこまで悪いとは思わないがそこは本人の問題か。冒険の「批評性」。たしかに常識をゆさぶる行為に人は感情的になる。意味不明という感想しか書けなかった「金閣寺」の解説は面白かった。読書メーターもそうだけど自分のノートに書く感想同様にSNSに書く場合も忖度なしで純然たる感想を書かないと意味がないと思う。2024/04/17

imagine

13
著者の文書は、大学入試問題に頻繁に引用されるという。豊富な語彙、明快な論旨、緻密な文書構造、その先に立てられる仮説。その助けによって、主張がスンナリと頭に入ってくる心地よさ。思わず空欄や傍線を加えて、問題を作ってみたくなる。後半の三島由紀夫論も圧巻。毎回生死の淵を漂いながら生還してくる極地探検家ならではの、「死の余白」というアプローチを用いて『金閣寺』を読み解いている。序論にある、「思いついたことを実行すること、それが自分の生き方にたいする唯一の責任の取り方である」という一文はなんとも美しい。2024/04/19

チェアー

8
冒険という行為と書くという行為を埋めるためには、生命を賭けるしかないのか。究極、合一させるためには、死ぬしかないのか、と考える。2024/03/09

etoman

6
デビュー当時からずっと追いかけていると、角幡さんの人生そのもののドキュメンタリーを読んでいるかのよう。角幡さんの冒険に対する考え方が変わったり深化したり、それを楽しみ待つ10人のうちの1人は確実にここにいる。僕より若いので、僕が死ぬまで楽しまさせてほしい。2024/03/02

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