内容説明
哲学は日常に溢れている。世に知られた哲学者だけでなく、大リーグの首位打者、愛を詠う詩人、そして今この本を手にしているあなたの傍にも、きっと哲学がある。人間が生きる意味を問う学問であり、大なり小なり誰しもが自分なりの哲学と共に生きている。そんな哲学のエッセンスを分かりやすく解説。哲学ってなんだか難しそう……と思う人にこそ読んでほしい、1日10分のやさしい哲学書。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ジョンノレン
47
読んでいて取ってつけたような説明というか、時に挟み込まれる著者自身の価値観に居心地の悪い違和感を感じてしまった。遠目に見て面白い着眼点を楽しもうとも思ったけど、厳密性が放棄されていたりかなり無理筋の対比や浅めの価値判断に、知的誠実性ってなんだろうと思ってしまった。それなりに参考になりそうなところもあったが、展開部や結部でのやっつけ感が耐え難い。これほどまでの違和感、私の体調が悪いのかもしれない。2025/06/06
ニッポニア
38
哲学が何のためにあるのか、思考を巡らせて物事を説明するためである。以下メモ。サン=テグジュペリはキツネに星の王子に例の大切さを教える役を与えている。文楽の面白さ、語りの妙につきる。語りの力とは、声によって私たちを日常から別の次元へと連れていく。仏に遭ったら仏を殺せ。世界は多様性に満ちている、対立もあれば、矛盾もある。与えられた条件の中で最善を尽くせ。ホメロスの罪。ピタゴラスの無理な注文。ヴォルテールを忘れるな。自国から自由になる瞬間を、人は「ふと」とよぶ。韓国人という他者。2025/05/24
みねね
34
哲学触れてかんとなーと思っている中でジャケ買い。ちゃんと前書き読んでから買いましょうね。スループット系で、なるほどね、ほお、甘いですね、ふざけるな、数学にもう少し触れられてはいかがですか、こういう思想家がいるのか、あー確かに、などと肩肘張らずに楽しく読めた。もともと論争を呼びたい本だから喧嘩腰なのは仕方なし。/微分幾何的視点に立てば直線と曲線に大した差は無くて、それらが「質的」に違って見えるのは直線をしっかり学ぶ高校までの算数数学教育の賜物であることよ。/デリダの読みは千葉雅也とずいぶん違って見えるなあ。2025/01/31
ta_chanko
21
1話完結の哲学エッセー集。総じて理性を追究する西洋的・数学的・機械的な考え方よりも、自然を尊重する東洋的・総合的な考え方の大切さを説いているように思えた。AIがますます発展していく現代、人間にしかできないことを大切にしていこうという考えには共感できる。2024/05/10
大先生
14
著者がフランスのパリでレヴィ゠ストロースに会ったとき、「未開社会と文明社会の違いは結局なんですか?」と尋ねてみると、「未開社会は未開ではありません。人間と環境の調和を保つよう努力している社会のことを、私たちは未開だと思い込んできたんです。文明社会は、環境を壊すことで人間を地球の中心に据えようとします。賢くないですね」と答えてくれたそうです。技術が発達した社会が優れているというのは、我々は思い込みに過ぎないわけですね。自然との共生ができる社会こそ賢い。2025/05/19