内容説明
僕の生涯のすべてをかけて、彼女を殺すと誓った。
成果は出ず、冴えない日常を送る、青年天文学者の昴。
そんな彼が出会ったのは、亜麻色の髪と翡翠色の瞳を持つ美しい女性、クロエだった。「遠いところから来た」と語るクロエの不思議な魅力に惹かれていく昴だったが、やがて彼女の秘めた過去と非情な運命を知る。
――僕に何ができる?――
深い絶望を前にした昴の決断。それは、果てしなく遠い、彼方への挑戦だった。
永遠に等しき宇宙の輝きに比べれば一瞬に過ぎない人生。それでも人は星に手を伸ばす。
『どうか、彼女が死にますように』に続く、衝撃と感動の「彼女×死」シリーズ!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
なみ
15
天文学者の昴が恋をしたのは、パン屋で働くクロエという女性だった。 昴はクロエと徐々に距離を縮めていくが、彼女には切ない秘密があって──。 最初は物騒にも思えるタイトルですが、読み終わってみると、すごく優しい印象を受けます。 昴の友人で変人の薩摩がとても素敵でした。 終盤で、弱気になった昴を奮起させる薩摩の言葉が刺さりましたし、実際に行動に移した昴も格好良かったです。2024/02/26
栗山いなり
10
青年天文学者の昴がパン屋で謎の女性・クロエと出会うことから始まる物語。昴とクロエのラブストーリーでありながら天文学という学問が持つスケールの大きさを感じることのできる物語だった2024/02/24
かっぱ
8
思うような成果を出せずに燻っていた青年天文学者が外国から来たというパン屋のアルバイトの女性と出会うところから始まる星と人の物語。いつか人は死ぬ。そして誰からも忘れ去られ、生きた痕跡すら失う。クロエの抱えた非情な運命に立ち向かうことを決意するまでの昴の成長が読んでいて温かく、どこか前向きな気持ちにさせてくれる読み味が良い。臆病で自信がなく凡人でしかない彼だから出来たこと。友人の薩摩からの激励に、主人公を意識する流れが大好きだ。読み終わったあと、無性に星を見上げたくなった2024/02/08
ツバサ
6
不思議な女性の裏の顔を知った上で、絶望感に苛まれながらも、彼女に向きあった主人公・昴の踏ん張りは魅力的でした。微かな可能性でも諦めずに手を伸ばすというのは応援したくなりますね。2024/01/26
siro
2
★★★★★/結末を描きすぎなのではないかと思った部分はある。色々と上手くいきすぎでもある。だがよかった。熱量を感じた。ネガティブな主人公が愛を通して前へと進んでいくこと、大好きな星空を通して永遠を感じ取ること。これはまさに青春小説。そして、人生賛歌の物語だった。魔法使いという突拍子もない要素をできるだけ軽く、しかし不自然さをなくすように書けているのが凄いと思います。人は永遠を手に入れられる。普通がなんだ、凡人がなんだ。遠い場所にでも、夢があるなら手を伸ばせ。熱く、勇気がもらえるような話でした。2025/02/04