岩波新書<br> 「むなしさ」の味わい方

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岩波新書
「むなしさ」の味わい方

  • 著者名:きたやまおさむ
  • 価格 ¥1,012(本体¥920)
  • 岩波書店(2024/01発売)
  • 2025→2026年!Kinoppy電子書籍・電子洋書全点ポイント30倍キャンペーン(~1/1)
  • ポイント 270pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784004320029

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内容説明

自分の人生に意味はあるのか,自分に存在価値はあるのか….誰にでも訪れる「むなしさ」.便利さや快適さを追求する現代では,その感覚は無駄とされてしまう.しかし,ため息をつきながらも,それを味わうことができれば,心はもっと豊かになるかもしれない.「心の空洞」の正体を探り,それとともにどう生きるかを考える.

目次

序章 「むなしさ」という感覚
第1章 「喪失」を喪失した時代に
第2章 「むなしさ」はどこから──心の発達からみる
第3章 「間」は簡単には埋まらない──幻滅という体験
第4章 「むなしさ」はすまない──白黒思考と「心の沼」
第5章 「むなしさ」を味わう
おわりに──悲しみは言葉にならない
あとがき

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

KAZOO

93
著者の北山さんには誕生日が近いこともあり、親近感をフォーク・クルセダーズ当時から抱いていました。京都府立医科大学生でありながら音楽活動を短期間ながら行っていたということにも(自分にはできないだろうなと思いながら)あこがれめいた気持ちを持っていました。今まで北山さんの専門書以外はほとんど読んできているのですが、今回はエッセイと専門のことも収められている中間的な感じで面白い感じでした。「悲しくてやりきれない」(サトウハチロー作詞)当時のことや加藤和彦のことなども触れられています。2024/02/03

ヒラP@ehon.gohon

25
「虚しさ」は耐えるもの、乗り越えるものと思っていた私に、「虚しさ」を味わうという発想はとても新鮮でした。 先日、きたやまおさむさんの講演を聴く機会がありました。 本書と同じく「『むなしさ』を味わう」テーマだったので、テキストのような感覚で読みました。 講演では、様々な楽曲の歌詞には、出発があっても終着点がないという観点から、人生そのものが虚しさにつながるという展開をされました。 本書では、様々な祭りのようなにぎやかさの後の空虚感の「間」が「魔」であると、誰もが虚しさを感じる落し穴だと書かれています。 2025/11/13

コージー

20
★★★☆☆誰もが感じる、日常のふとした瞬間や人生の谷間で感じる「むなしさ」の対処法が書かれた本。精神科医として、フロイトなどの精神分析の理論などを用いて専門的に解説している。掴みどころのない「むなしさ」の正体を数えきれないほど多彩に表現しているが、知識のひけらかしのような印象が先行し、肝心の『味わい方』という核心に迫っていない。要は、避けられない「むなしさ」を噛みしめることが人生であると言っているだけである。元歌手でもあり、合唱でよく歌った『あの素晴らしい愛をもう一度』の作詞家であったことが驚きであった。2024/02/29

とりから

12
人の心には沼があり、生活のやりきれなさが沈澱していく。その上を「むなしさ」という乾いた風が吹きさらす。一般に忌避すべきとされる虚しさは、実はその心のどこか湿った部分を含め、心全体を見透させる契機である。沼は穢れであると同時にそこから何かを産み出すもの。女性の胎、イザナミのイメージと共に語られる。虚しさという感情に奥行きがあるのはそういうことか。「むなしさを味わう」とは、傘にあいた穴を月と見立てるようなものだ。2025/11/08

スリカータ

12
虚しいという感情は、個人的には悲しいや寂しいよりも厄介だと感じている。虚しさは心のスペースに置いておく。時間をかけて【間】にじっと立ち続ける。間に生じた虚しさを味わい、漂うモヤモヤをなんとなく眺めてみる。それは白黒つけたい心に余裕を与え、自身に奥行きをもたらし、器としての幅を広げてくれるという。2024/03/10

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