内容説明
小学生でデビューし、スランプに陥っていた高校生小説家・綴喜文彰。また傑作を書けるようになると誘われ、あるプロジェクトに参加する。向かった山奥には料理人、ヴァイオリニストなど5人の元・天才たちがいた。彼らのミッションとは、AI・レミントンの力を利用し、天才として世間に返り咲くこと――。借り物の才能で幸せになれるのか? 天才ではない自分に価値はあるのか? 等身大の悩みが胸に突き刺さる、共感必至の青春小説!
解説・桜庭一樹
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
よっち
39
とある事件をきっかけに書けなくなった高校生小説家・綴喜文彰に届いたあるプロジェクトの招待状。極秘の国家計画に参加した彼が、同じような元・天才たちと出会う青春小説。若き天才を集めて交流を図る十一日間のプロジェクトの驚くべき内容。世間から見放された元・天才たちが受けたセッションで突きつけられる過酷な現実。借り物の才能で幸せになれるのか?天才ではない自分に果たして価値はあるのか。彼らの生々しくて複雑な想いが描かれていましたけど、葛藤と向き合うことで導き出されたそれぞれの選択と結末が印象的な物語になっていました。2024/01/22
タルシル📖ヨムノスキー
26
かつて天才ともてはやされ、現在は泣かず飛ばずになってしまった若者を集め、AIを活用して復活させようという国家プロジェクトの物語。選ばれたのは小説家、ヴァイオリニスト、日本画家、料理人、映画監督、そして棋士。かつて「天才」ともてはやされた彼・彼女たちの苦悩や葛藤は、いわゆる「山の中の木」のような私でも、読んでいて胸が締め付けられます。プロジェクトに参加した5人のその後を描くエピローグを読んで、みんなそれぞれ頑張っている姿を見て…。ところでこのまま自動生成AIが進化し続けたら、人間はどうなっちゃうんだろうか?2024/07/15
なみ
20
様々な分野の元天才たちが集められ、AIによって再び天才へと返り咲くことを目的としたプロジェクトが始まった。 元天才小説家の綴喜文彰は、AIの力を借りて、プロジェクト中に小説の完成を目指すことに。 才能がないことも、才能があることも苦しいのだと思わされました。 AIに対して肯定的な意見も否定的な意見もあり、色々なことを考えさせられます。 十日目。文彰が、天才としてではなく1人の人間として、小説の結末を選んだシーンに感動しました。2024/02/06
おうつき
19
AIの力を利用してかつての天才をもう一度返り咲かせようという政府主導の極秘プロジェクトに集められた少年少女の姿を描いた青春小説。AIに頼るのは正しいことなのか、それで自分は満たされるのか。かつて天才だった彼らの悩み傷つきもがく姿は、決して天才でない自分のような人間であっても共感を呼び起こされるような普遍的なものだった。自分が身を置いている世界との向き合い方について、それぞれの選択に胸が熱くなる。メンバー達が徐々に絆を深めていくのにもほっこりしてしまった。2024/10/15
練りようかん
17
四年間新作を書けてない小説家。それだけならそんなに大事じゃないと思うが、小学生でデビューした高校生なら大変だ!となる。男女六人の文化交流合宿でさり気にクローズドサークルなのが面白く、十代の人生に対する時間感覚は儚く厳しく特殊だと強く感じる内実に引き込まれた。 AIのディープラーニングをアシストするためだけに消費されるのか、AIは天才に返り咲くためにアシストしてくれるのか、この局面をどう乗り越え活かすのかが楽しみだった。斜線堂さんが描く渇望はカラーがあって、そこに魅力を感じるのだと認識できた作品になった。2025/02/11
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