創元推理文庫<br> ロンドン幽霊譚傑作集

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創元推理文庫
ロンドン幽霊譚傑作集

  • ISBN:9784488584085

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内容説明

19世紀ヴィクトリア朝、文化・産業ともに飛躍を遂げた大都市ロンドン。その栄華の陰では、犯罪のもたらす恐怖、そして超自然がもたらす恐怖が蔓延していた――晴れ渡ったケンジントン・ガーデンズの一角で目に見えぬ何かと交信する、美しき寡婦を巡る愛憎劇を主軸とした出色のサスペンス「ザント夫人と幽霊」。アイルランドのバンシー伝説を背景に、野心家の外科医が運命の奇蹟に遭遇する「ハートフォード・オドンネルの凶兆」。周囲から憧憬を集めた愛らしい令嬢が、死に際に抱いた最後の願いを描く「揺らめく裳裾」ほか、魔都ロンドンを舞台に贈る様々な趣向のゴースト・ストーリー13篇を収録する。集中12篇が本邦初訳。/【目次】ザント夫人と幽霊 ウィルキー・コリンズ/C―ストリートの旅籠(はたご) ダイナ・マリア・クレイク/ウェラム・スクエア十一番地 エドワード・マーシー/シャーロット・クレイの幽霊 フローレンス・マリヤット/ハートフォード・オドンネルの凶兆 シャーロット・リデル/ファージング館の出来事 トマス・ウィルキンソン・スペイト/降霊会の部屋にて レティス・ガルブレイス/黒檀の額縁 イーディス・ネズビット/事実を、事実のすべてを、なによりも事実を ローダ・ブロートン/女優の最後の舞台 メアリ・エリザベス・ブラッドン/揺らめく裳裾(もすそ) メアリ・ルイーザ・モールズワース/隣牀(りんしよう)の患者 ルイーザ・ボールドウィン/令嬢キティー ウォルター・ベサント、ジェイムズ・ライス/編者あとがき――魔の都(みやこ)、霊の市(まち) 夏来健次

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

sin

59
生きる時代も、文化や人種も違えど死後に寄せる関心は同じらしい。そして、悲しいかなその中に描かれる地位や財産に貪欲で利己的な男達も今に共通する。未亡人とそれを狙う男達・恋愛、利己的な提案・十一番地に『上段寝台』の怪・捨てられたシャーロット・バンシーの告げる凶兆に憑かれた民・欺かれた霊媒・利己的な殺人医師・魔女の誘い・真実は、真実のすべては、なにもかも憶測か・ある意味“或るストーカーの話“・思慕の念はそんなに単純ではないだろうに・救い、敬虔な患者・令嬢座敷童だが、この記録を彼の妻が読まない保証はないだろうに…2024/07/29

星落秋風五丈原

40
ウィルキー・コリンズ「ザント夫人と幽霊 」 ケンジントン公園で遊んでいた娘ルーシーといたレイバーン氏は、娘から「おかしな女の人がいる」と言われる。気になってついていくと、彼女ザント夫人は義兄と一緒に暮らしていた。家政婦から義兄はザント夫人と結婚したがっていると聞いたレイバーン氏は彼女の事が気になって。半ばラブストーリーですね。娘ルーシーが素直で可愛い。ダイナ・マリア・クレイク「C─ストリートの旅籠」三人称小説だが、すぐにドロシー・マッカーサー夫人の語りになる。 2024/03/28

ワッピー

32
ロンドンを舞台とした地図付きゴースト・アンソロジー。未亡人とやもめの物語「ザント夫人と幽霊」(ウィルキー・コリンズ)他12編の作品を収録。古典的な雰囲気を湛える中に愛あり、離別あり、恐怖ありの世界を愉しみました。かなり暴力的な「ウェラム・スクエア十一番地」(エドワード・マーシー)や地獄からのお迎え「黒檀の額縁」(イーデス・ネズビット)、そしてツンデレお嬢様のお返し「令嬢キティー」(ウォルター・ベザント)が印象的。この本を持ってロンドンに飛び、聖地巡礼をしたい…「ザント夫人~」を除き初訳。夏のおススメ本。2024/06/14

翠埜もぐら

23
意外と優しい結末のものが多くて途中から安心しながら読んでいました。お気に入りウィルキー・コリンズ「ザント夫人と幽霊」は、幽霊ではなく生きた人間が恐怖の対象で最後はちょっとロマンスっぽく終わったし。「シャーロット・クレイの幽霊」は浮気者クズ男が蒼白になって楽しかった。幽霊自体はしつこい割には諦めが良かったな。ウォルター・ベサントとジェイムズ・ライスの「令嬢キティー」はオスカー・ワイルドの「カンタヴィルの幽霊」みたいな話かと思ったのですが・・ちょっと待て、これ精神的浮気じゃないか!2024/05/27

くさてる

19
19世紀ヴィクトリア朝ロンドンを舞台にした幽霊譚アンソロジー。というわけで古臭い話が多いのかなーと覚悟してたのだけど冒頭の「ザント夫人と幽霊」から先がとにかく気になるリーダビリティでぐいぐい読まされ、他の作品も粒ぞろいでしっかり楽しめました。ふたりの女性の書簡体で語られる「事実を、事実のすべてを、なによりも事実を」がベストですが、どの作品もそれぞれに読みどころがあって良かったです。2024/04/21

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