内容説明
太陽系を巻き込んだ大戦争から数百年。宇宙への脱出を夢見て時間膨張爆弾の殻の買い手を探しているジャンク掘りの少年、それ自体がひとつの街のような移動隊商宿で旅をつづける少年、そして砂漠の巨大都市の片隅で古びた見慣れぬロボットと出会った女性。彼らの運命がひとつにより合わさるとき、かつて一夜にしてひとつの都市を滅ぼしたことのある戦闘ロボットが、長い眠りから目覚めて……。世界幻想文学大賞作家が贈る、どこか懐かしい未来の、ふしぎなSF物語。/解説=渡邊利道
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
オフィーリア
58
宇宙大戦後から復興した遥か未来の中東が舞台のSF。壮大な世界観ながらもそこに生きる人間やロボットの視点が主でどこか長閑でおとぎ話のよう。フレーバー代わりに膨大な設定と単語が登場し、そのワード一つ一つに妄想を膨らませたくなる素晴らしきSF。2024/03/10
小太郎
38
作者はイスラエル出身なので、描かれたこの世界はイスラエルが支配した中東がなんだろうか? 話は太陽系全体で起きた大戦争から数百年経った砂漠でジャンク堀りをしているサレハ、母親の面倒を見ながら仕事をしているマリアム、そして古いヒューマノイド型ロボットが伝説のロボットゴールデンボーイを発掘するところから始まります。SFらしいガジェットや魅力的な未来世界など古きSFの雰囲気に満ちたい一冊でした。好きなタイプのSFだと思ったんですが意外に時間がかかったのは訳のせいかな?話自体もテンポが悪く勿体ない感じでした。★32024/12/18
アプネア
20
現在、サウジで建設中の都市ネオムの未来が描かれています。作者自体があとがきで「人類補完機構」に言及しているだけに、その妙味は感じられる作品だった。ただ、関連用語集から、起きた未来史を読み取っていく楽しみは、あるっちゃあるんだけど。すべて読んだところで、この世界の謎は謎のまま。舞台としての最小限の説明でしかない。なので、早く短編でその関連性などの断片を埋めていきたいな〜。2024/06/22
tetsubun1000mg
18
イスラエル生まれで、ロンドン在住の初読みのSF作家さん。 世界幻想文学大賞などを受賞して評価の高いそうだが、読語感はSFというよりファンタジーという感じ。 私の全く知らない砂漠の世界の幻想的な物語という余韻が残る作品だった。 砂漠の国の未来のSFだが、不思議とノスタルジックな印象も受ける不思議な作品。 サウジアラビアでは170㎞のドーム「ザ・ライン」,全長全幅400mの建物と中にドームを建造する「The・Murabba」なども2030年に建てるなど発表しているのでこんな物語も現実となりそうな気もする。 2024/04/12
宇宙猫
17
挫折。世界観は面白そうなんだけど、文章が好みじゃなかった。翻訳のせいかもしれないけど。2024/08/29