内容説明
東京郊外の公立小学校に新しく赴任したひかりは衝撃を受ける。ウサギをいじめて楽しそうなマーク、ボロボロの身なりで給食の時間だけ現れる大河、日本語が読めないグエン。これまでの経験がまるで役に立たない現場で一人一人と向き合ううち、いつしかひかりは子どもたちの真の輝きを見つけていく……。新米教師の奮闘と成長に心震える感動作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
カブ
38
東京郊外の公立小学校に赴任した26歳の女性教師、澤木ひかり。前任者からの引き継ぎもなくいきなり6年2組22名の担任となる。問題の多いクラスで、ネグレクト、暴力、移民など一人一人に重い困難がある。ひかりはその全てに全力で立ち向かうのである。学校という組織のバックアップは無いのと思わないではないが、こんな先生がいたらいいのにと思わせてくれる。それでも、ひかり先生が潰れなければいいのにと心配になる。2024/02/29
ブルちゃん
34
延長もできないので、この本は読めなかったら返そうというポジションだった。でも、読めて良かった🥰子どもの行動には、理由がある。もしもあの時、と後悔しないように、自分も頑張ろうと思えたし、何十人もの子どもを預かる先生には、感謝しかないです😌✨2024/04/17
mayu
24
鬱病を患った教師の代わりに引き継ぎも無いまま水柄小学校6年生の担任になったひかり。お風呂に何日も入らない痩せた姿で給食だけを食べに来る佐内君、暴れたり教室で座っていることができない真亜紅、外国籍で日本語があまりわからないグエン。問題ばかりの中、逃げずに時には自分の時間を犠牲にして生徒に寄り添う事は誰にでも出来ることではない。親は自分の事で必死で子供の事までまわらない。子供は何も悪くないのに、なぜこんな思いを…と閉ざしていた心の中の本音がわかった瞬間涙が止まらなかった。心に強く印象を残す読めて良かった一冊。2024/01/18
りん
11
一気読み。先生という職業がこの時代、どんな風に取り扱われているのかわからないが、ハラスメントという言葉が便利に使われ、何も言えない指導者はどうやって今からの人たちを教育していくのか。26歳の先生を通して子供たちが救われていくこの物語が現実であって欲しい。子供たちの未来を幸せを願う先生がいることを、物語を超えて願ってしまう。子ども自身の問題ではなくて子供を取り巻く環境が問題を作っていることを、そしてその問題が多様化していることが怖いと感じた。「できることをやればいい。」自分のできることを丁寧にやっていこう。2024/01/28
めぐ
7
熱血教師奮闘記なのだが、10代の妊娠からの水商売、子はネグレクトでゲーム依存症、フィリピンパブ嬢で日本語の通じない保護者、来日したばかりで言葉の通じない生徒、被虐待児で粗暴な少年、殺人事件に小児性愛者、と流石に詰め込みすぎのような問題目白押しの設定で、20代の女性教師が1人で全て何とかしようと奮闘するという、どこを切っても痛々しい話。しかしこれが現代の教育現場のリアルだったりするようで、推理小説風に纏めてはあるが、解説には実は著者の友人に教師がいて半ノンフィクション的な作品でもあるような事が書かれている…2024/03/25