内容説明
口さけ女はいなかった。恐怖の大王は来なかった。噂はぜんぶデマだった。一方で大災害が町を破壊し、疫病が流行し、今も戦争が起き続けている。何でもいいから何かを信じないと、今日をやり過ごすことが出来ないよ――。飛馬と不三子、縁もゆかりもなかった二人の昭和平成コロナ禍を描き、「信じる」ことの意味を問いかける傑作長篇。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ミカママ
601
書店に並んでいれば内容を確認せずとも購入する、数少ない作家さんのひとり。昭和から令和、年齢も生い立ちも性別すら異なるふたりの人生を通じて「なにを信じるか」を問う、そんな角田さんの最新作。こちらも襟を正して(寝っ転がって)読ませていただいた。世相を盛り込んだ内容なので少々中弛みもしたが、描き切った感あると思う。めでたしめでたし、でないところがやけにリアル。ただタイトルの真意と、後半やたら話題に出る猫泥棒のメタファーが不気味で、その辺はモヤったままだ。代表作のひとつになることは確定だろう。2024/09/28
starbro
431
角田 光代は、新作をコンスタントに読んでいる作家です。 昭和~平成~令和、市井の人々の大河小説、人間ドラマ、著者の筆力で読ませますが、期待値が高い作家だけに、少し残念な作品でした。 https://www.shinchosha.co.jp/book/434608/2024/03/22
青乃108号
418
1967年から2022年までの間、1人の男性と1人の女性の生き様を平行して描き、やがて2人が子供食堂の活動で邂逅するという物語。俺も子供の頃口裂け女は怖かった。ノストラダムスの大予言の1999年人類滅亡説も信じていたし、その年には自分が何歳になっているのか計算もした。サリン事件は連日報道見たし、2000年問題は結局何事もなかった。コロナ禍では同調圧力に屈せず、かと言って陰謀論を信じた訳でもなく只、自分で判断しワクチンは1度も打たなかった。コロナ禍終息。結局この本は何だったのか良く解らずモヤモヤしている。 2024/10/12
nonpono
310
わたしが小学校の頃の給食は残してはいけなかった。アレルギーという概念や意識が低かったんだろう。本書を読みながら思い出した。1967年代、そう、こっくりさん、口裂け女の噂。世紀末のノストラダムスの予言の存在感。だけど恐怖の大王は来なくてパソコンもおかしくならなかった。マクロビに凝る母親、そのせいで周りから孤立する娘。母親にはこない「孫フィーバー」。マクロビ作りを初めて褒められて泣く。「だれにも褒められなかったことを、なぜ40年も続けられたのか」の虚無に止まる。疫病、ワクチンの問題。選択するって難しいと思った2024/06/15
R
299
史実というには近い過去から今にかけての物語。いわゆるオカルト趣味が流行して、世紀末思想だとか、新興宗教とか、確かにそんな時代だった頃を生きていた人たちの姿、考え、想いみたいなものが描かれて、時代そのままなのである意味ドラマチックだけど、登場人物たちは普通にその中で生きていた、あるいは生きているだけというのは、本当にそうだなと思うことばかりで驚いた。勝手な思い込みによる感情の揺れみたいなものも生々しく、同時代を生きた自分が、本当にこんなんだったような気すらしてしまう。2024/08/22
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