内容説明
震災から12年、東北を取材し続けてきたルポライターが初めて知った事実。それは「東日本大震災での外国人の犠牲者数を誰も把握していない」ということ。彼らは東北の地でどのように生きたのか。現地を訪ね歩き、出会ったのは「あの人の面影が、今も自分を生かしてくれている」という実感を胸に凛と生きる人々だった。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
しゃが
49
毎年、震災の記憶を忘れないために関連の本を読んでいる、今年の一冊だった。「東日本大震災での外国人の犠牲者数を誰も把握していない」事実に気づかされた。憧れや親しみを感じて日本にやってきた外国人たち、通名で働いていた人たちが被害にあっていたことや支援が届いていなかったことも分かった。なによりタイトルの『涙にも国籍はあるのでしょうか』の言いようのない哀しみに胸が痛くなった。2024/04/07
たまきら
43
この人の本に失望したことがありません。もはや外国人がいない状況など考えられない日本の状況ですが、では、日本は実際に永住している外国人に対して「やさしい」国かというと答えはNOでしょう。もちろん日本だけではありません。文化が違う国に住むことの大変さは多少なりともわかっているつもり。それでも、この本で紹介される人たちを思い、冒頭で愕然とし、最終章ではついに号泣しました。「生きたい」と思える毎日を多くの人たちと積み重ねていきたいです。素晴らしかった。2024/05/06
モミ
22
東日本大地震で亡くなった外国人の足跡を追うドキュメンタリー。 ”みんなボロボロで、死者と生者の境目がひどく曖昧”という文が、悲惨な状況を想像できました。最後の「本棚のピエタ」は、子を持つ親として涙無しには読めませんでした。2024/03/27
manamuse
21
病院の待ち時間に一気読み。あれから13年。いざという時に日本人も外国人も関係ない。みんな同じ人間だ。2024/04/15
JADE
18
災害で大切な人を喪った想いは、どんなに言葉を尽くしても語り切れるものではないのだろう。それでも、読んでいるとやっぱり涙が出る。東日本大震災関連の本はたくさんあるし、いくつも読んだけど、そのたびに泣かされる。本書は外国人に焦点を当てている。非常時には弱者ほどつらい思いをした事例もあった。命がけで外国人を守った人たちもいた。命にも涙にも国境があってはならないと思うけど、自分がその場にいたら、いったい何ができただろうとも思った。能登で被災した方々に、早く日常が戻りますようにと願う。 ☆42024/07/13