内容説明
吉田茂、鳩山一郎、石橋湛山、岸信介、池田勇人。戦後のある一時期、首相たちは敗戦の影が色濃く残る東京を避け、熱海、伊豆、箱根の温泉地で政治を行っていた! サンフランシスコ講和会議や抜き打ち解散など、大勝負を控えた吉田は決まって箱根に籠った。吉田の影響か、鳩山、石橋、大野伴睦、河野一郎ら反吉田勢力も伊豆や箱根に滞在するようになり、重要な決定を下していた。敗戦直後の1940年代後半から1960年代前半にかけて、東海道筋に点在する温泉地に、濃密な政治空間が出現していたという知られざる史実を解き明かす。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
hitotak
11
鳩山一郎、岸信介など戦後のある時期までの首相たちは余暇や週末を箱根、熱海等の温泉地で過ごし、国会解散や内閣改造など重要な決断をその地で行っていた。現職期間の吉田茂の箱根滞在がここで書かれているほどの頻度とは知らなかったので、昔とは違い、テレワークが可能な環境があり、ワーケーションが推奨されていながら、首相の夏季休暇でのゴルフですら非難される令和の現在との差に驚く。首相たちの温泉地通いは、心身の健康の維持と、東京から離れた場所で政敵やGHQに邪魔されずに考えをまとめることに役立っていたようだ。2024/03/24
takao
2
吉田、鳩山2024/07/30
DBstars
2
温泉が政治家の健康維持に寄与していたこと、温泉旅館で政局の重要な決定がなされていたことももちろんだが、天皇や皇族による温泉地の利用に対する指摘が特に興味深かった。基本的に伊豆箱根に限定した言及だが、著者としては「海沿いの景観地」というのも温泉政治の重要な要素の一つと考えているのかも。…「戦後政治の盲点」(33-34頁)をつき、政治学・政治史の枠内で妥当性・説得力のある分析を加え読者の興味関心を強く呼び起こす本書は、日本政治史の研究をする者にとってはある意味でロールモデル的な研究といえるかもしれない。2024/03/17
O. M.
1
本書では確かに温泉にも触れていますが、それ以前に私が当時の政治家についてよく知らなかったので、吉田茂とか鳩山一郎とか、どういう政治家が活躍していたのかについて基本的な学びがありました。今も昔も政治家には大変なプレッシャーがありそうですね。しかし振り返ると、当時の政治家の発想・行動と庶民の間には大分距離があったのではないでしょうか? 今はだいぶ近づいていますよね。2025/10/18
siomin
0
戦後の政治家はかなりの頻度で別荘で過ごした歴史があり,それを追った一冊。首相レベルの政治家ならば別荘を所有することもあり,空調設備も整っていない時代,なおかつ戦争で東京は大きな被害を受けていたとなれば,リフレッシュを兼ねて別荘で過ごすの合理性がある。さらに,忙しい政治家,交通の便の良い箱根や熱海あたりに収斂するのも面白い。ただ,今は首脳が別荘で長い間過ごしたら批判の材料となるし,現在の首相はワークライフバランスを捨てると言っているくらいなので,別荘政治は過去の産物になったのだろうが,なんか勿体ない。2025/10/22




