内容説明
地元の医者は逃げ、インフラは停まり、遺体が道に転がる中、僕はアフリカに派遣された――引継ぎゼロ、報酬1ドルもなんのその!ウイルスでパニックになった世界を救う感染症専門家のドキドキ・アウトブレイク奮闘記。
はじめに――ロックマンになれなくて
第1章 アフリカでエボラと闘う
第2章 〝中2病〟の医学生・研修医
第3章 全米デビュー
第4章 エボラとコロナの間
第5章 新型コロナ対策の中のひと
おわりに――丸い世界を転がるように
医療資源の乏しいフィリピン、防護服や注射針を使いまわすアフリカ、コロナ対策で不夜城と化した霞が関を渡り歩いた感染症専門家の日常とは? 笑顔の裏に何かを隠し、ときには夜のBARまで味方にしつつ、型にはまらぬ方法でウイルスと闘う医師による、ヤバくて笑える仁義なき闘いの記録。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
くさてる
21
感染症の専門家として、ウィルス学の研究、感染症対策、流行を抑えるための仕組みづくりと世界を股にかけて働いてきた著者。ドラマティックだけど泥臭く、きれいごとではかたれないけれど真摯な眼差しも忘れない。いまどきの学者ぽい柔らかさと軽さが、深刻な事態を前にしたときには力になるのかな、と思った。日本でのコロナ対策についての箇所は、あっというまに過ぎ去ってしまったあの時期を忘れないためにはも大事な記述だと思った。また日本に同じような波が現れたときのためにも。おすすめです。2024/04/17
kochi
14
コロナ禍にクラスター対策班に戦闘民族として参加(^_^)、報道番組などで解説に登場した古瀬先生の半生記的読み物とコロナなどの公衆衛生に関した医療系サイト記事の書籍化。エボラへの対応や規格外の経歴も興味深いが、コロナ対応の打ち明け話の部分がまさに知りたかったところで、将来、もっと詳しくことを誰か書いて欲しい。いろいろな人物が匿名で登場し、固有名詞を想像して読んでしまう。「尾身先生のような年配の人に何度も説明して整理もできた」という趣旨の記載があり、尾身先生のポジションや著者の立ち位置もなんとなく推察できる。2024/03/22
ゆうすけ
8
物凄く面白かったです。著者とはほぼ同世代ですが、超人的な働きぶり。9年かけて医学部を卒業したけど、その前に博士号を取ったり超人的。英語論文も相当書かれていて、研究者としても一流。臨床か研究かというのは究極の二択かもしれませんが、才能がある人はどっちもできるのだと思いました。作詞も作曲も、絵もストーリーもなど。自分の弱みとかも曝け出しているのは好感が持てるし、おそらくクラスター班のことは書けないことも多いのでしょう。もう少し専門的な本も読んでみたいのですが、次回作はあるのでしょうか。2024/02/28
FuSa
8
これまでの研究やキャリア、感染症対策に参加した経験についての書。堅苦しいことは一切なく赤裸々で、人間味もあって親しみを感じるくらい。2024/02/11
くらーく
4
良い本ですね。ぜひにとお勧めしたいけど、反ワクや陰謀論に傾く人は読まないだろうな。 若いうちにいろいろと経験しておくのは大切な事だわ、ホント。 日本の人材不足はどうしてなのだろうね。人が余っている訳でも無いだろうに。いったい、どこに行っちゃうのだろう。不思議だわ。2024/03/02