内容説明
復讐に取り憑かれた伍子胥、人心を操り権力に固執した王莽、女のために国を売った呉三桂……。極め付きの裏切り者たちが行き着く先は? 『史記』『戦国策』『三国志』『世説新語』等の史料から、歴史を動かした個性溢れる悪漢たちを描き切る。春秋時代から明末清初まで、二五〇〇年にわたって興亡の絶えない中国をかき回した反逆者たちの数奇な人生。
中国古典の第一人者・井波律子氏による評伝集にして、中国史・中国文学のファン必携の一冊。
【主な登場人物】
・母国の君主に父兄を殺され、敵国の呉に奔った伍子胥(ごししょ)
・品行方正を装い、世論を操作して王朝を簒奪した王莽(おうもう)
・三世代かけて国を滅亡させた諸葛亮のライバル司馬懿(しばい)
・貴族に出し抜かれ、皇帝になりそこなった繊細な桓温(かんおん)
・反乱を引き起こすも、夢半ばで息子に殺された安禄山(あんろくざん)
・英雄を処刑したため、中国史上最も忌み嫌われた秦檜(しんかい)
・恋人を奪われて激怒し、身を売り国をも売った呉三桂(ごさんけい)
ほか、呉起、始皇帝、商鞅、張儀、蘇秦、趙高、則天武后、楊貴妃、項羽、劉邦、諸葛亮、永楽帝、朱元璋、李自成など多数。
【目次】
はじめに
第1章 復讐の鬼――伍子胥
第2章 自立するコスモポリタン――戦国時代のパフォーマー
第3章 頭でっかちの偽善者――王莽
第4章 持続する裏切り――司馬懿
第5章 気のいい反逆者――王敦と桓温
第6章 危険な道化――安禄山
第7章 極め付きの「裏切り者」――秦檜
第8章 恋に狂った猛将――呉三桂
年表
参考文献
あとがき
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
yamatoshiuruhashi
59
高校時代の漢文、吉川英治や司馬遼太郎の小説、近代史などで知った中国の王朝の交代や滅亡に関与した「裏切り者」たちの話。まあよくもまあこれだけ歴史に名を残す「裏切り者」がいるものだ。何も特別なことではなく、権力闘争があれば必ずその当事者がおり、権力を手中にするために権謀術数と裏切りが渦巻くのは当たり前だろう。それを中国は王朝が変わるたびに「正史」として自らの王朝の正当性と共に残したがために、事実と誇張が混同されて残ったのだろうと推測する。にしても、中原の歴史エッセンスを読むようで面白い。」2024/03/14
よっち
34
春秋時代から明末清初まで、二五〇〇年にわたって興亡の絶えない中国をかき回した反逆者たちの数奇な人生。中国古典の第一人者・井波律子氏による評伝集。君主に父兄を殺されて呉に奔った伍子胥や世論を操作して王朝を簒奪した王莽、貴族に出し抜かれ皇帝になりそこなった桓温、夢半ばで息子に殺された安禄山、英雄を処刑して忌み嫌われた秦檜、恋人を奪われて激怒し国をも売った呉三桂など、中国史に登場する極め付きの裏切り者たちの生き様とその行き着く先が紹介されていて、テーマも良かったですし、著者さんの文章も楽しそうで面白かったです。2024/02/26
たぬ
21
☆3.5 紀元前の伍子胥から17世紀の呉三桂まで10人くらいを紹介。聞いたこともない人物だらけなんで唯一なじみがある4章の司馬懿から読んでみることにした。これは地名? 人名? それとも別の何か? に陥りつつなんとか読了。中国史はほぼ初心者なので難しかった。でもこれだけは言える。殺しすぎ。残忍すぎ。時には実子すら殺すし自殺教唆、こいつらに家族愛という概念はまったくないんだろうな。「秦の始皇帝」の秦が実質たったの40年で終わっていたのも驚いた。2025/09/21
サケ太
17
非常に面白い。知っている人物から、あまり知らない人物まで、様々な時代の”裏切り者”たち。伍子胥、王莽、司馬懿、安禄山らは知っていたものの、改めて時代背景、彼らの波乱万丈の生涯を知るとさらに興味深い。様々なパフォーマンスを行い、生き残りを図ってきたトリックスターたちのダイナミックな生涯に驚かされる。2024/04/30
田中峰和
7
平家物語の冒頭にまで出てくる中国の裏切り者の名前。秦の趙高、漢の王莽、梁の朱异、唐の安禄山など、教科書レベルでは名前程度しか出てこないので、この本は理解の助けになってくれる。秦の趙高については、司馬遼太郎の「項羽と劉邦」の最初の章でも詳しく描かれているので有名。始皇帝が死んで悪臭を放っても隠し続ける場面は印象に残っている。さて、この裏切り者たちはほとんど、不幸な最期を迎えている。中国の権力者に共通するのは、取り巻きいわゆる外戚たちが権力を掌握していくこと。裏切り者たちは外戚を排除していく過程が見事だ。2024/04/05
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