内容説明
電子版は本文中の写真の一部をカラー写真に差し替えて掲載。
第二次世界大戦で数千万もの人々を死に追いやったヒトラーとナチス。彼らは新興メディアだった映画をプロパガンダの最大の武器として活用した。一方で戦後、世界の映画産業は、わかりやすい「悪」の象徴として、ヒトラーとナチスを描き続ける。だが、時代とともに彼らの「評価」は変わっていく。本書は、第Ⅰ部でナチ時代の映画を、第Ⅱ部で戦後映画での彼らのイメージの変遷を描き、「悪」の変容と、歴史と「記憶」の関係を探る。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
108
ナチスが映画をうまく宣伝に利用していたことは結構広く知られています。特に宣伝相のゲッペルスがそのようなものをすべた含めたマスコミ対策をうまく行い、レニ・リーフェンシュタールやベルリン・オリンピックを利用して人気取りをしていたようで今の安倍政権に似ている気がします。あまり深くは説明していませんが戦後のヒトラー関連の映画についても説明してくれて結構新書の割には参考になりました。今もナチス関連の映画が2本かかっています。2015/10/26
つちのこ
38
ナチスやヒトラーをモチーフにした映画が現在でも量産されているのは何故なのか、ずっと疑問に思っていた。捉えどころがない虚像と実像を悪の象徴としてばかりでなく、チャップリンの『独裁者』ではその蛮行を茶化すことで批判しているのが面白い。様々な解釈と角度から描くことができるのは、人々を惹きつける魅力的なモチーフだからこそだろう。映画をプロパガンダの手段として使ったナチスが、戦後はプロパガンダの道具として、多くの映画に描かれたのは皮肉なめぐり合わせである。ヒトラーの一挙手一投足もプロパガンダの産物だったのだろうか。2023/08/07
はやしま
27
構成は概ね「ナチス時代の映画」と「戦後の映画におけるヒトラー及びナチス」の二部。関連映画がほぼくまなく取り上げられており映画解説的に読むには最適。ただ中公新書として期待して読んだからか全般的に議論が弱いと感じてしまった。原因は1)紙面の足りなさ、2)映画作品それぞれの持つ力の方が大きくそれらの解説のようにしか読めなかった、の2点ではないかと思う。上記構成の二部を分冊して出版するか、映画の資料は本書のように後ろにまとめたものに委ね、本編は分析・議論に徹した方が良かったのでは。2016/10/29
tom1969
20
確かに、映画をプロパガンダとして利用しながら、敗戦とホロコーストからは、映画は喜劇であったり、独特の人間性にスポットしています。中々興味を持てました。今の時代もメディアは違えどプロパガンダは変わりばえしないのが残念です。2016/12/29
藤
8
私達が何をどうやって記録し、最終的に何を記憶するか。史実に向き合う時にいつも考えることではある。本作で扱うのはナチスと映画だけれど、その変遷の歴史はそのまま今後の私達の政治と表現の移ろいだと思った。2017/09/24
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