内容説明
音楽史上最大のスキャンダル「会話帳改竄事件」。宮部みゆき氏絶賛の衝撃的歴史ノンフィクション、待望の文庫化!
現代に語り継がれるベートーヴェン像は、秘書により捏造されていた!? 「会話帳改竄事件」の真相に迫る、衝撃的な歴史ノンフィクション。「会話帳」とは、聴力を失ったベートーヴェンが周囲の人とコミュニケーションを取るために用いた筆談用ノートのこと。
100年以上にもわたり多くの人々を騙し続けた「犯人」の名は、アントン・フェリックス・シンドラー。音楽家でもあり、誰よりもベートーヴェンの近くで忠誠を誓い、尽くした人物である。なぜ、何のために彼は改竄に手を染めたのか? 音楽史上最大のスキャンダルの「犯人」・シンドラーの目を通して、19世紀の音楽業界を辿る。音楽ファンもミステリーファンも絶賛した名作がついに文庫化!
◎解説=栗原康
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
かんやん
28
難聴だったベートーヴェンの死後、その会話帳の一部を勝手に破棄したり、数々の改竄を施したりした秘書シンドラー。彼の書いたベートーヴェン伝も、信用ならないものだという。崇高な楽聖と忠実なその秘書という物語を作ったシンドラーの動機に迫る。この本自体、著者が彼の内面に迫るというより、主観に入り込んでしまうのだから、かなり小説よりのノンフィクションと言える。それにしても、これほど崇拝し奉仕したのに、ベートーヴェン本人には軽んじられ、嫌われ、バカにされていたのだから、なんだかやり切れなくて、ほろ苦い哀愁が漂う。2025/05/16
ぐうぐう
26
晩年のベートーヴェンの秘書を務めたシンドラーによって、現代にまで引き継がれているベートーヴェン像がでっち上げられた。嘘のようなホントの話に、まずは引き込まれる。聴力を失ったベートーヴェンは周囲の人達とコミュニケーションを取るために会話帳を用いた。死後に遺された膨大なその会話帳をシンドラーは大胆にも改竄していく。ベートーヴェンを神聖化するために、あるいはシンドラー自身の存在を大きく見せるために。例えば「交響曲第五番」冒頭のジャジャジャジャーンという音を「運命はかくの如く扉を叩く」と(つづく)2025/08/13
ばんだねいっぺい
24
飴に群がる蟻のごとく、天才のまわりにはという感想。なんだかんだと名プロデューサーの才を発揮したのが皮肉でならない。さまざまなバトルも盛り上げに一役も二役も買ったに違いない。2023/12/29
緋莢
23
「このように運命が扉を叩くのだ」交響曲第五番のジャジャジャジャーンというモチーフについて、ベートーヴェンはこう述べた…と伝記には書かれている。だが、これは 伝記の執筆者の創作の可能性が高い。伝記の執筆者であるアントン・フェリックス・シンドラーはベートーヴェンの晩年に音楽活動や日常生活の補佐役をしていた人物。そんな彼が 聴覚を失ったベートーヴェンが、コミュニケーションを行うために使用していた筆談用ノート「会話帳」の一部に加筆、一部は燃やしていたことも判明(続く2024/05/01
鐵太郎
20
ベートーヴェンが生き、死んだ時代、音楽家を英雄・アイドルとして崇拝することはそれほどポピュラーではなく、葬式、墓はもとより死後に讃える銅像を造るなど皆無であったとのこと。しかしベートーヴェンを崇拝し、顕彰し、楽聖と讃える元を作ったプロデューサーがいたのでした。その名はアントン・フェリックス・シンドラー。この男は、実はベートーヴェンに疎んじられた「面倒くさい男」であり、師と自分を持ち上げるために「会話帳」を改竄して大ウソをついたのだという。なぜ、なんのために。それを解明した歴史ドキュメントがこの本。面白い!2023/12/22
-
- 電子書籍
- 仕事運が3分で変わる!オフィスで「気」…