内容説明
東京郊外の高級住宅が並ぶ丘の上を毎日観察する老人の狙いは何か?
また都心のデパートや地下街に出没するピエロの正体は?
そして江戸川乱歩の古い写真を持つ老女の素顔とは?
現代の東京に表出した奇妙な出来事はやがて四十年前の雪の北海道で起きた惨事の謎解きに結集する。
著者が周到に企みをほどこした驚異の野心作を改訂完全版として新装復刊、著者による巻末解説も収録。
2024年春公開予定映画『乱歩の幻影』を収録。
江戸川乱歩の知られざる秘密に迫る「乱歩の幻影」。
島田荘司のリアルな体験から発想された名作がついに映像化!
出演 結城モエ 高橋克典 山口大地 嘉島陸 小貫莉奈 高橋努 加藤雅也(友情出演) 常盤貴子
原作・脚本・音楽 島田荘司
監督・プロデュース 秋山純
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
おしゃべりメガネ
95
おそらく今さらながら、初読みとなった島田さん作品です。この一冊しか読めてないので、なんとも言えませんがド直球のスタンダードなトリックミステリーかなと。北海道はオホーツクエリアに住んでる自分としては表題作につられ、手にとりました。映像化もされ、ひたすら乱歩愛を綴った作品でもあり、なかなか好みが別れるのかなと。こういうの、好きな人は好きなんでしょうが、苦手な人はあまり進んで手にとらないのかもしれません。表題作は身近な地名が多数出てきて、親近感がわきましたが、肝心な話自体にはイマイチ没頭できず、残念でした。2024/03/18
森オサム
32
大昔旧版を読んでいるとは思うが記憶は無く、一々驚かされて非常に楽しめた。登場人物が緩やかに繋がった連作短編集ですが、若き島田御大の才能が溢れこぼれています。何が起こっているのか分からない異常な状況、自分が狂っているとしか思えない、このまま破滅を待つしか無いのか?、と思った次の瞬間世界は一変する。いやー、お見事です!。本作を読んで、そんなアホな!と失笑する様な方は、御大とは縁が無いと思って良いでしょう。初短編集だそうです、つまり「占星術殺人事件」と同じ意味合いが有ると思いませんか?。ね、読むしか無いでしょ。2024/02/11
LUNE MER
18
島田荘司作品は割と網羅して読んでいると思うのだが、本作は未読であった。絶版になっていたのがこの度、改訂完全版の文庫化。本作でも失われつつある存在として登場する建物群は(ネットで現状を調べる限り)既に失われてしまったもよう。もっと早くに本書を読んでいれば、その存在を知り、まだ会いにいけたはずのものもある。本との出会いのタイミングって本当に難しい。2024/02/05
Yuri
16
連作短編集。『乱歩の幻影』のみアンソロジーで既読。映画にはエキストラでお邪魔した縁のある作品。連作なのですが、それぞれのお話を楽しめた感じがします。2025/06/03
りょうけん
16
<飛> 本書は「改訂完全版(文庫版)」なのだそうだ。それだからか著者が近々に書いたあとがきの様な解説の様な文章が巻末に載っている。まあここ所新作が出ていない島田荘司のその様な最新筆が読めるだけでも価値ある一冊なのだろう。さらに僕は改訂前のバージョンだったとしてもこの作品を読んだことは無いので本文内容もまあそこそこ良かった。4つの短編の様な中編の様な作品でもって一冊としている。奥付をみると最初に発行されたのは1990年で最初から文庫版での出版だったらしい。 2024/08/26