内容説明
たくさんの人々が行き交うバスターミナル「バスクル新宿」。
それぞれの目的地を持つ人々がひととき同じ時間を過ごし、同じ事件に巻き込まれてーー
「メフィスト」掲載の連作短編集が待望の書籍化!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
カブ
34
バスターミナル「バスクル新宿」様々な思いを乗せて長距離バスが出発して行く。袖擦れ合うも他生の縁とは、よく言ったもので隣あった人たちの温かい気持ちや、お節介で繋がりができる。ステキだな。ちょっとバスで旅に出たくなる。2024/02/28
よっち
34
たくさんの人々が行き交うバスターミナル「バスクル新宿」。それぞれの目的地を持つ人々がひととき同じ時間を過ごし、同じ事件に巻き込まれてゆく連作短編集。途中のPAで乗客が消えてしまった理由、部費の使い込みがバレた同級生の捜索で出会った元刑事との世間話、修学旅行中に同級生が消えた理由、事故で立ち往生したバスで不審な動きをした男の正体、そして事件をきっかけに出会う登場人物たち。それぞれの人生の岐路が描かれる人間模様はいろいろありましたけど、最後に一つに繋がってゆく結末がどこか著者さんらしくてなかなか良かったです。2024/01/16
のんちゃん
32
巨大バスターミナル「バスクル新宿」その場を中心に置き、その待合室、そこへ向かう人々の背景、バスを利用する人々の事情、その気持ち等をトータルに物語にした短編集。私が読後感じ思った事は全て解説の小出和代さんが記されていたのでそちらにお任せする。年間約60〜100冊弱をここ数年、読書してきたが、この作品、久々に私の琴線に触れた一冊だった。人の掛け値なしの善意に涙した話もあった。ターミナルはその雰囲気だけでも小説になりうる場所だけど、敢えて目的地迄時間のかかるバスを選択された作者の着眼点に拍手を送りたい。2024/03/16
mayu
24
多くの人が行き交う新宿駅のバスターミナル「バスクル新宿」が舞台。昨年利用したバスタ新宿を思い出しながら読んだ。日頃生活の中では交わらないだろう老若男女がバスターミナルを通して出会う物語に、人間関係が希薄な世の中だからこそこういうの良いなぁと思う。身も知らない他人の事を思いやり、その想いに救われる事がある。バスを舞台に繰り広げられる日常の謎はハラハラして先が気になるものばかり。「パーキングエリアの夜は更けて」が1番好きだった。たまたま乗り合わせただけの縁が深まって繋がっていく温かい一冊。2024/01/23
NAOAMI
14
登場人物が繋がる連作短編集。新宿のバスターミナルに向かう車内を中心に話が巡る。旅先で出会った人とそうそう仲良くもなれないボクは、この手の出会いや会話がスムースに繋がるのに現実味ない。だからこそ読んでいて人と人との関りを面白く感じる。個々の想いを背負った深夜バスが新宿に到着する朝、皆早朝の晴れやかな天気のように前を向いていく。そんな心地よさも感じる。各篇に共通する謎の少年の行方を追って短編の各視点人物が集合する最終章、ちょっとしたミステリは仕上げに程よい緊張感。各人個々の家族とは?も関り奥行きをもたらした。2024/02/10