内容説明
〇冷戦の終結以降、中国はまず地域レベルでアメリカを追い落とすための大戦略(グランド・ストラテジー)を推し進め、今ではグローバルなレベルで展開している――。これが本書の主張だ。
〇中国の覇権戦略は習近平時代に突如、始まったものではない。天安門事件、湾岸戦争、ソ連崩壊という三大イベント後に、中国はアメリカの位置づけを準同盟国から最大の脅威へと変えた。トウ小平時代に構築された対米戦略構想は、阻止戦略から秩序構築戦略、そしてさらに拡張戦略へと次元を高めていき、いまやグローバルな舞台で展開されるようになった。
〇本書は中国共産党の戦略構想の歴史、アメリカを追い落とす戦略が軍事、政治、経済にわたって組み立てられ、実行に移されていったロング・ゲームの実態を明らかにし、さらに、世界規模での秩序構築を目指し覇権を奪取しようとする中国の意図を読み解く。
〇そして、中国との対決戦略論、中国とのグランド・バーゲン(大取引)論のいずれも、アメリカ国内の制約条件、中国側が抱く長期的な計略を軽視しているとして退け、アメリカは中国に対し物量で正面から対抗するよりも、相手の弱みを鋭く突く非対称的な競争戦略を進めるべきだと説く。
〇著者は、有力シンクタンクのブルッキングス研究所で中国戦略研究プロジェクトを立ち上げ、現在、バイデン政権の国家安全保障会議で中国・台湾を担当、アメリカの対中戦略の中枢を担う逸材。本書は圧倒的な密度と網羅性をもつ徹底した公開情報の調査をもとに執筆された。中国の大戦略を歴史的なプロセスをもとに説き明かす決定版。
目次
序 章
第1章 一貫性のある思考と行動の枠組み
第2章 党がすべてを指導する
第1部 中国による追い落とし戦略の第一段階 : 阻止(1989 ― 2008年)
第3章 新冷戦が始まった
第4章 暗殺者の鎚矛を握る
第5章 本心を隠して穏やかに接する
第6章 恒久的通常貿易関係
第2部 中国による追い落とし戦略の第二段階 : 構築(2009 ― 2016年)
第7章 パワー・バランスの変化
第8章 より攻撃的な手を打て
第9章 地域の枠組みを確立する
第10章 我々の開発列車にようこそ
第3部 中国による追い落とし戦略の第三段階 : グローバルな拡張(2017年以降)
第11章 世界の中央ステージに向けて
第12章 堂々と立って遠くを望む
第13章 中国との競争に向けたアメリカの非対称戦略
終 章
感想・レビュー
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tenorsox
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