内容説明
黄金の一九六〇年代から、不確実性の時代・七〇年代を経て顔の見える大衆社会へ。美学的見地から見た消費文化論で、ブームを牽引した同時代史のロングセラーに、系譜となる「日本文化の世界性」「あらためて個人主義とは何か」を増補する。吉野作造賞受賞作。
〈解説〉福嶋亮大
感想・レビュー
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NAGISAN
1
1984年版に加え1988年発表論文を増補。時代背景を反映しているが、今読んでも興味深い。副題は「消費社会の美学」ということを失念していた。筆者は『世阿弥』の執筆者であり、日本人を、室町時代に花開いた美学(=感性)をもっているという。なお、消費は今の言葉で言えば「コトの消費」社会を指しているのではないか。中世の「連」(→サロン)のように、サロンの礼儀や約束事に従い、法ではなく信や礼を重んじ、他人の自我を犯したりレッテルを貼るのを避け、克己的な自己の確立(=個性化→個人主義)を図る社会の到来を期待している。2024/02/09