- ホーム
- > 電子書籍
- > ビジネス・経営・経済
内容説明
世界の経済政策が大きく転換しようとしている。これまで財政政策は抑制的に、金融政策は独立して行うことを常識としてきたが、昨今、その実効性が疑問視されるようになったのだ。巨額の政府債務と長期の低金利政策で財政破綻さえ囁かれる日本。この苦境はどのように打開すべきなのか。本書は財政・金融政策の理解を整理し、両政策の現代的な意義と機能を考察。日本再生の第一歩として必要な新たな経済政策を提言する。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
まちゃ
56
国債残高が1000兆円を超えた日本で財政破綻は起こるのか。帯にひかれて手に取りました。危機論や楽観論に偏ることなく、財政政策と金融政策について分かり易くまとめられた良書だと思います。提言は、「財政・金融政策の統合運用」と「高圧経済」/【高圧経済】国内の需要が供給を上回り、投資等が活発化して、さらに需要圧力が高まる傾向にある経済。財政政策や金融政策によって景気を過熱し、それをある程度の期間継続すること。2024/01/08
南北
50
日本経済を再生させるためにはどのような財政政策と金融政策が必要なのかを述べている。経済学に対する理解は浅い方なので、どこまで理解できたかは怪しいところもあるが、「失われた30年」は財政政策と金融政策がきちんと噛み合ってこなかったとしている。著者は総需要が過剰である状態にする高圧経済論に基づいた政策をすべきだとしていて、納得できる内容といえる。ただ経済学をもう少し勉強してから読むべきだったのかもしれないとも感じる内容だった。2024/01/26
ころこ
37
今どき珍しい200ページの薄い新書だが、細部が難しく、読むのに苦労した。だが論旨は明確だ。章立てに沿って第1章・財政、第2章・金融、第3章・財政と金融の連続、不可分性、第4章・高圧経済論となっている。難しくて途中で断念しても、第3章、第4章の冒頭にそれまでのまとめがあるので、それらから読み直すことで復活することも出来る。経済学は経験の学で、演繹的な方法の限界があり、政治、社会からの影響や干渉が常にある。本書は積極派の論だが、緊縮派との差は、そこをどれだけ考慮するかだと思う。2024/03/31
masabi
10
【概要】財政金融政策の学説を整理し日本経済の処方箋を提示する。【感想】経済成長のために生産性を向上することが必要で、生産性向上を促す高圧経済に移行することを説く。財政の楽観論・悲観論の評論、金融政策の出口戦略の重要性など学説の解説がためになった。2024/10/19
しゅー
8
★★★財政政策と金融政策の整合性を保ちながら運用しなければいけない。単純化すると政府債務残の水準を決めるのが財政政策で債務の内訳を決めるのが金融政策だ。経済成長率が国債金利を上回り続ける限り、債務残高は発散せず収束に向かう。従来の長期的な経済政策は供給サイドに働きかけて潜在成長率を高めることを目指し、短期的には需要不足分を政府が埋め合わせる考え方だった。今後は若干の需要超過状態を継続させることで間接的に供給側へ働きかける政策への転換が必要である。特に生産性を高めるような雇用の異動を促す財政支出が望ましい。2024/01/30