内容説明
ヨーロッパ大陸での大冒険から帰還したメアリ・ジキルら“モンスター娘”こと〈アテナ・クラブ〉の令嬢たち。ロンドンで彼女たちを待ち受けていたのは、メアリの雇い主である探偵シャーロック・ホームズと〈アテナ・クラブ〉のメイドのアリスが忽然と姿を消したという知らせだった。メアリたちはさっそくふたりの行方を捜すことに。そのころホームズはアリスとともに宿敵モリアーティに囚われていた。モリアーティの一味はホームズを生贄にして大地の力を操る古代エジプトの女王を復活させ、大英帝国の征服を企てていたのだ……! 古典名作をもとにしたSFミステリ三部作完結篇。解説/中野善夫
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
猿吉君
71
モンスター娘3部作3作目、新しい敵と戦いの火ぶたが切られます。①前作までよりもスピーディに物語が進みますがいつも通りクライマックスはあっさり目。②ホームズでおなじみのあの敵が出てきたりするんですがホームズもほぼ寝たきりだし出す必要あったのか。③結局のところメアリは頭が切れるだけで美味しいところはほぼダイアナが(笑)点数80/100→モンスター娘たちのチャットが面白いかどうかが全てな作品、私は楽しく読了しました。後で解説読んでどの作品の人が出ているのかが判って良かったです。完結みたいですが続編あるかも。2024/02/27
syaori
61
メイドのアリスとホームズの行方を探す最終巻。本巻でもストーカーの『七つの星の宝石』の登場人物達やワイルドの『ドリアン・グレイ』、世界初の長距離ドライバー、ベルタ・ベンツも登場して19世紀の虚と実の人物達の混戦具合が楽しいです。同時に<黄金の夜明け団>の野望が国境に壁を築いたり移民を規制したりする今日の世界の、また自分に有害な影響を与えた親との関係やその特性ゆえに社会からの疎外を感じる主人公達は私達の戯画でもあって、彼女達が影響し合いながら自身や仲間を信じ、自分の居場所を作っていく姿には大変励まされました。2024/05/07
sin
60
ジキルとハイドの娘、ラパチーニの娘、ドクターモローの、フランケンシュタインの創造物、ヴァン・ヘルシングの娘、そしてメスメリズムを体現する少女…彼女たちをモンスター娘と表現しているが、アメイジング!驚異の娘たちと表現する方がしっくりくるように思うがどうだろう?欧州での冒険も終わり、行方知れずのアリスとホームズを探す英国での新しい冒険…驚異の娘たちが勢揃いで挑むミッションは友人の救出と、英国女王を狙う魔の手を払い除けること、そして、甦ったエジプトの女王という強敵との対決というクライマックスを迎える!2024/02/21
たま
55
メアリ・ジキルもの4冊目。第1冊はマッド・サイエンティスト(錬金術師)の娘たちの覚醒の物語でフェミニスト的だった。第2、3冊は彼女たちがウィーンとブダペストで吸血娘を救いだす話で19世紀末の吸血鬼譚やアフリカ冒険譚が下敷きとなり、その素養のない私は唖然茫然。この巻では彼女たちがホームズとアリスをモリアーティ一味+錬金術師+蘇ったミイラの女王から救いだす。モリアーティ一味はあっけなく退場、怪物淑女たちはジキル邸の共同生活に安住の地を見だし、『若草物語』の姉妹や『あしながおじさん』の女子寄宿舎の趣。 2024/04/05
がらくたどん
54
や、もうホントに「囚われの」だったわ(笑)イカレたもしくは見当違いの探求心に憑りつかれた「科学者パパ」によって生み出されたゴシック・ホラーの「娘」達による無謀に見えた独立宣言ここに完結す♪イギリスに帰還したメアリ達を待っていたのは天下の名探偵ホームズとジキル家のメイドのアリスの失踪。私の「なんだい、モリアーティ落ちかい」のせっかちなガヤは、深層を流れる古代エジプトまで遡る父系男尊岩盤への時空を超えた怨念に易々とかき消された。頑迷なオールドボーイの勘違いと頑ななオールドガールの憤怒のその先へと我が道を拓け♪2024/04/12