技術革新と不平等の1000年史 上

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技術革新と不平等の1000年史 上

  • ISBN:9784152102942

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内容説明

生産性を高める新しい機械や生産方法は新たな雇用を生み、私たちの賃金と生活水準を上昇させる――これが経済の理屈だが、現実の歴史はしばしばそれに反している。中世ヨーロッパにおける農法の改良は飛躍的な増産を実現したが、当時の人口の大半を占める農民にはほとんどなんの利益ももたらさなかった。船舶設計の進歩による大洋横断貿易で巨万の富を手にする者がいた一方で、数百万人もの奴隷がアフリカから輸出されていた。産業革命にともなう工場制度の導入で労働時間は延びたにもかかわらず、労働者の収入は約100年間上がらなかった。なぜこのようなことが起きるのか? 圧倒的な考究により、「進歩」こそが社会的不平等を増大させるという、人類史のパラドックスを解明する。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

紅咲文庫

20
農耕開始からリーマンショックまで時間軸も語られる地域も広大だが、迷子にならず読み進められるのは細やかに配慮された文章のおかげ。上巻最終でイギリスで産業革命が起きた理由を、緩んだ封建制の中で新しい技術の発明者が中流層を確立し得たこと、その彼らがのし上がる手段として富を獲得することに執着したことが書かれ下巻へ続く■生産性バンドワゴン:生産性を高める新しい機械や方法は賃金も上昇させるという考え方。企業は生産性向上すると生産量を増やすためより多くの労働者を確保しようとする。その手段として賃金を引き上げるというもの2024/01/04

塩崎ツトム

19
テクノロジーの進歩は富とゆとりをもたらすが、それは民草が団結して、きちんと権力者に物申して、搾取されないように戦ってこそのもので、そこんところを見逃すと100%搾取されるという話。特にイーロン・マスクや竹中平蔵みたいなタイプの人間が「there is no alternative.」とか言い出したらもうアカン。オルタナティヴは間違いなく存在する。わたしたちが望む限り。そして黄色いレンガ道がエメラルドの都に続いているとは限らない。2024/01/30

さとうしん

16
21世紀版『人間不平等起源論』といった趣。レセップスとパナマ運河の下りは西欧版『失敗の本質』という感じだが。農耕の開始から産業革命に至るまで、テクノロジーの発展は庶民を幸せにしないどころか、それ以前より生活を苦しくさせるということが議論されている。19世紀アメリカの綿花栽培にボリシェヴィキ・ロシアの姿を見るという視点や、中国のように(というよりイギリス以外の)一定程度科学が発展していた国でも工業化出来なかったのはなぜかという議論も面白い。2024/02/08

ふら〜

3
技術革新は必ずしも庶民の生活を豊かにはしない、その因果関係を過去の事例も元に解き明かした本。そういう幻想に囚われてはいけないというのはその通りかなと。2024/01/16

chiro

3
技術革新が招いたものは何だったのかという事を1000年に及ぶ歴史を遡って検証している著作。上巻では産業革命までの変遷が記されているが帯に書かれている様に技術革新による生産性の向上は資本家を富ませたが労働階級はむしろ貧困に留まらせる事になっており、それは今も変わらない。下巻でこの流れがどう今に繋がっていくかに興味が惹かれる。2024/01/16

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