内容説明
一七〇二年、ある公国の司教区で、高額褒賞目当てに永久機関をうたう詐欺が横行し、機工審査官テオが真贋を見極める任務を担う。テオの父親はかつて機構を考案したが詐欺師の濡れ衣を着せられ、火刑に処せられた。テオは父が追い込まれた真相を明らかにできるのか……第13回アガサ・クリスティー賞優秀賞受賞作
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
よっち
27
夢の動力、永久機関をめぐり発明詐欺が横行する18世紀。処刑された父の汚名を雪ぐため、機工審査官テオが真の永久機関を追究する物語。司教が永久機関の開発者には莫大な褒賞金を与えるとぶち上げたことから、褒賞金目当てに横行する永久機関をうたう詐欺。そのひとつひとつをあたり、永久機関だと主張するものを調べて矛盾を突いていくストーリーで、父親が火刑に処せられた背景はだいたい予想していた通りでしたが、当時の時代背景や技術の歴史に関する描写にはなかなか見るべきものがあって、三兄弟やその友人のキャラもなかなか良かったです。2024/01/26
RIN
19
第13回アガサ・クリスティー賞優秀賞受賞作。失礼ながらミステリ的な展開はベタだと思う。終盤にかけての流れは概ね予想が付くし、何より序盤に比べてやや駆け足的に物語が進んでしまうのも少しだけ残念。ただこれらの点も含めた上で総合的に評価するなら、もうめちゃくちゃ好き。凄い好き。作家買い決定。寧ろシリーズ化して欲しい。癖の強い三兄弟もその友人もとてもキュート。そして普段あまり気にもされない、我々の暮らしを豊かにしている機械の歴史に胸が熱くなる。未知なる可能性への情熱と探究心。深い家族愛。心が弾む幸せな読書だった。2024/01/13
鐵太郎
16
永久機関がネタの「アガサ・クリスティー賞優秀賞作品」ということで、期待を持って一読。近世の初め(1702年)、フランス王国とスイス同盟のあいだにある小国ノイエンブルク公国、永久機関にかかった莫大な賞金、異端な異端審問官、提出された永久機関の真偽を判定する機工審査官。なんと魅力的な言葉が連なったことか。これで内容が息も尽かせぬ面白さと痛快なミステリでさえあれば。 ──結論から言うと期待外れ。謎はあるがそれを解く鍵はお話に従って現れるだけ。冒険ものだといえばそれはそれで面白くなったかもしれないのに。残念。2024/04/26
Abercrombie
6
これが第十三回アガサ・クリスティ賞優秀賞ねぇ。ごちゃついたストーリーに、読みづらい文章、処刑された父は無実だったと喚き散らすだけの、魅力ない駄々っ子主人公。舞台が珍しくも産業革命間近のヨーロッパというので期待していたのだがなぁ。2024/04/16
外道皇帝
5
まだ永久機関が民衆の間で信じられていた時代。キャラは立っているし読みやすい。ミステリとしては弱いけど物語としては楽しめる。2024/04/17