内容説明
作家 貴志祐介氏、絶賛。
『ループ・オブ・ザ・コード」の著者が紡ぐ、未体験ゾーン突入の歴史ハードボイルド超大作。
「ほんの一瞬だけなら何でも手に入れられる、俺の唯一の特技だ」
一攫千金の夢が渦巻く欲望の“街”その男は、ただ魂(マブイ)を求めた――
第二次世界大戦終結後、米軍占領下の琉球。その最西端の与那国島では、一本の煙草から最新鋭の義肢まで、ありとあらゆるものが売買される密貿易が行なわれていた!
腕利きのサイボーグ密貿易人・武庭純は、ある日顔馴染みの警官からとんでもない話を耳にする。終戦とともに殺人鬼と化した元憲兵が島に上陸したというのだ。
元憲兵探しに乗り出した武だったが、時を同じくして、謎のアメリカ人女性から 「姿も形も知れない “含光” なる代物を手に入れろ」という奇妙な依頼が舞い込んでくる。
相棒の島人とともに奔走する武は、やがて、世界を巻き込む壮絶な陰謀に巻き込まれていく……。
琉球と台湾の史実をもとに描き出す、 サイバーパンク巨編!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヒロ
106
過去、未来を同時に体験できるSF。戦後の与那国島と台湾の事もホントに細かく描写されており、読んでいてその世界に入り込めました。そして内容は序盤の静かな展開から中盤以降の映画のような怒涛の展開と、いくつもの驚かされる事実に、ホントに良くできた話だと思いました。機械の体や電脳といった言葉がホントに戦後に普通にあったかのように錯覚させられたし、そんな世界があったら歴史もまた全く違うものになっていたんだろうと、そういった幻想的な世界に想いを馳せることもできて、ホントに楽しかったです。2024/06/22
ずっきん
71
面白さのあまりの一気読み。サイバーパンクと聞いていたが、その定義や境界など意味なく凌駕。前作『ループオブザコード』からの期待を裏切らない読み応え抜群の冒険活劇で、戦後すぐの与那国と台湾を舞台にしたポリティカルな歴史小説でもある。サイバーパンクと歴史小説だよ?これらを抜群のバランスで、熱い魂(マブイ)の浪漫ダダ漏れに仕立て上げる著者の腕前に乾杯。武庭純を筆頭にキャラ立ても動かし方も最高。アイツがまさか?そんな!の連続。フラグは折られてナンボです。やー、もう、本当に書いてくれてありがとおおーーー!と叫ぶ逸品。2024/04/22
猿吉君
59
時代設定がへんてこかつ絶妙なSF漢気小説です。①サイバーパンクのエッセンスとしてニューロマ・ブレラン・オルカボ・攻殻等が入ってます。②主人公武庭純の影が薄くなるかっこいい野郎どもが出てきます。③ヴィランも相当に悪、良いですね〜このぐらいの敵じゃないと興ざめ。④トキコがもっと活躍すると思っていましたが。⑤今時珍しい喫煙シーン多数、まあ健康気にしなくてもいいから(笑)点数90/100→きっちり終わっているので小説として完成度高く、最後は予測通りの展開で涙、戦闘場面のアクションも切れがあって満足した長編でした。2024/05/07
よっち
37
第二次世界大戦終結後、米軍占領下の琉球。腕利きのサイボーグ密貿易人・武庭純が、顔馴染みの警官からとんでもない話を耳にするサイバーパンクアクション。煙草から最新鋭の義肢まで、ありとあらゆる密貿易が行なわれる架空の与那国島で、終戦とともに殺人鬼と化した元憲兵の噂。そして謎のアメリカ人女性からの含光なる代物を手に入れろという奇妙な依頼。琉球や台湾を舞台に世界を巻き込む壮絶な陰謀に巻き込まれてゆく展開はなかなかカオスでしたが、追い詰められても最後まで諦めず矜持を貫き通した姿が鮮烈な印象を残す物語になっていました。2024/01/23
rosetta
36
★★★★✮タイトルからはどうしても『不夜城』を連想するが勝るとも劣らない傑作。荻堂さん三作目、未だにハズレなし!今作も大満足。400頁超でちょっと長いかな?と思ったら2段組でガッツリ長かったw!だがどこにも冗長さがない。サイバーパンクハードボイルドと呼びたい。太平洋戦争後の与那国島は直近の台湾との間の密貿易で空前の活況を呈していた。全身を機械化され脳まで電脳化された密貿易人の主人公。2度目の命を与えられた代償にある任務についているが…SFと歴史感が非の打ち所なく融合。今年度のマイベスト候補2024/02/02