筑摩選書<br> 台湾の半世紀 ――民主化と台湾化の現場

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筑摩選書
台湾の半世紀 ――民主化と台湾化の現場

  • 著者名:若林正丈【著者】
  • 価格 ¥1,925(本体¥1,750)
  • 筑摩書房(2023/12発売)
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  • ISBN:9784480017840

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内容説明

1972年日中国交樹立によって、日本は中華民国(=台湾)と断交した。その同じ年に大学院に進学、研究をスタートさせた著者の研究人生は奇しくも台湾が民主化し、中国とは明らかに異なるアイデンティティ(=台湾化)へと進んだ道程と重なる。政府要人や台湾人研究者、歴史的事件の関係者との交流……。いまや中国は経済的にも軍事的にも大国となって、アメリカのライバルへと躍り出た。黎明期から台湾を見つめ続けた著者が、米中両大国に翻弄されつつも主体性を模索する台湾のこれまでを振り返り、現状と今後のゆくえを分析する。 【目次】プロローグ 台湾現代史における一九四九年と一九七二年/第I部 民主化の現場を歩く──オポジションから入る/第一章 日台断交の頃──台湾研究事始めと初めての台湾訪問/第二章 民主化の胎動に触れる/第三章 「自由の隙間」に立ちあがる台湾ナショナリズム/第四章 国民党一党支配の揺らぎ/第五章 民主化と「バランサー」李登輝の闘争──「憲政改革」の政治過程を見つめる/第六章 日本台湾学会の設立──台湾理解の知的インフラ/第II部 台湾化の脈動を見出す──アイデンティティの政治の背景に眼をやる/第七章 船出する新興民主体制──総統選挙が刻む政治のリズム/第八章 大国の狭間で──「中国要因」の政治の登場と米中の対立/第九章 中華民国台湾化論を提起する──台湾政治研究の曲がり角で/第十章 中華民国台湾化の不均衡な展開──新興民主体制下の国家再編と国民再編/エピローグ パフォーマンスする主権──「台湾の定義はまだできていない?」

目次

プロローグ 台湾現代史における一九四九年と一九七二年/第I部 民主化の現場を歩く──オポジションから入る/第一章 日台断交の頃──台湾研究事始めと初めての台湾訪問/1 台湾研究事始めの頃──希薄な関心と軽視の中で/2 「皜介石は良いところに逃げ込んだ」──崩れはじめた「思い込み」/3 葉榮鐘さんの「述史の志」──植民地期知識人のポストコロニアルの歳月を思う/第二章 民主化の胎動に触れる/1 一九八〇年春、民生西路の洋食屋「波麗路」/2 二つの衝撃──林義雄「滅門」事件と作家葉石濤の語り/3 政治研究開始までの回り道/4 「われわれは待てない」──一九八二年夏、「党外」との出会い/5 台南の友・林瑞明君に初めて会った夏/第三章 「自由の隙間」に立ちあがる台湾ナショナリズム/1 悲劇の被害者に正義と慰謝を与える──一九八三年「増加定員選挙」/2 「台湾前途の住民自決」の登場/3 戒厳令下での民主化の足音を聞く──その後も続けた「選挙見物」/4 権威主義選挙が生み出す独特の政治語彙/5 台湾キリスト長老教会と「台湾人」という多数──国民党が浸透・コントロールしきれないもの/6 狭い自由の隙間から這い上がってきた──台湾議会設置請願運動と「党外」民主運動/第四章 国民党一党支配の揺らぎ/1 香港からペンネームで「江南暗殺事件」を書く/2 「李登輝は台湾のサダトになる」/3 届かなかった論文抜き刷り──「警総」に郵便をインターセプトされる/4 野党結成機運の中で元政治犯柯旗化先生と知り合う/5 『台湾監獄島』と柯旗化先生の夢/6 「諸帝国の周縁」を生き抜く台湾人──老社会主義者楊逵のポストコロニアルの歳月/7 「戒厳令は死に体に」──民主進歩党の誕生/8 「東大の先生が台湾研究を?」──社会的注目とその波紋/9 台湾学術界の新しい流れに触れて──初めての台湾政治研究専著/第五章 民主化と「バランサー」李登輝の闘争──「憲政改革」の政治過程を見つめる/1 「若林の選挙コメントを聞け」──李登輝との初接点/2 「私はバランサーですよ」──初めて総統府に入り、初めて李登輝に会う/3 「あなたの本には正確でないところがある」──初めての李登輝単独会見/4 「台湾人の心、日本人のやり方、西欧の政治思想、中国式の皇帝」──一九九〇年代、台湾人の李登輝像/5 国会全面改選、変わる社会の雰囲気──台湾の「渦巻き選挙」/6 歴史的総統選挙前の台湾──中央研究院に長期研究滞在を開始/7 民主化の仕上げ、激動の始まり──史上初の総統直接選挙を見る/第六章 日本台湾学会の設立──台湾理解の知的インフラ/1 「日本台湾学会」設立に向かって「この指止まれ」/2 日本台湾学会設立大会/3 その後の日本台湾学会/4 希薄な関心から旺盛な関心と共感へ──日本社会の台湾認識の変化/第II部 台湾化の脈動を見出す──アイデンティティの政治の背景に眼をやる/第七章 船出する新興民主体制──総統選挙が刻む政治のリズム/1 台湾民主体制の船出/2 「台湾の子」陳水扁の栄光と挫折──新興民主体制の試練/3 その後の李登輝について/第八章 大国の狭間で──「中国要因」の政治の登場と米中の対立/1 北京とワシントンの「好ましからざる人物」/2 「七二年体制」の新たなコンテキスト──「中国要因」の作用と反作用/第九章 中華民国台湾化論を提起する──台湾政治研究の曲がり角で/1 中華民国台湾化論の提起──戦後台湾政治史を考える道具立て/2 中華民国台湾化論の概略/第十章 中華民国台湾化の不均衡な展開──新興民主体制下の国家再編と国民再編/1 『台湾の政治』の未解答問題/2 進まぬ国家再編/3 漸進的に進む国民再編──「中国要因」の波動の中で/エピローグ パフォーマンスする主権──「台湾の定義はまだできていない?」/あとがき/索引

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

榊原 香織

64
著者の研究史、裏話なども。 激動の台湾現代史をまじかで見てこれた人。凄いな。台湾45回くらい行ったけど、そういう現場とは縁がなかった。 謝長廷氏の若い頃の写真、逸話が出てて驚く。私が所属してる中国拳法の国内演武会にゲストとしてきた人。超人気の政治家だったそうで。2024/04/27

さとうしん

13
台湾政治研究の泰斗による、半世紀にわたる研究と「選挙見物」などの現地滞在記。同時刊行の同じ著者の『台湾の歴史』の舞台裏のような内容。そして同書の後の政治状況も補足としてまとめられている。著者の研究生活はほぼ台湾の民主化、あるいは「中華民国台湾化」、更には日本で台湾に対する印象が変化していく過程と重なっており、ダイナミックである。政治研究者としては当たり前だが、後々政界の大物となる人物とも早くから接触している。台湾政治研究を語る言葉として「動いているものは面白い」というのが印象に残った。2023/12/19

takao

4
ふむ2024/05/01

rineoskiss

1
台湾研究の第一人者の研究人生回顧と80年代以降の台湾政治の変動を記した本。論文とは違う研究の裏側的エピソードが面白かった。民主化移行期の雰囲気について研究者の視点か語られていて良かった。チャイナファクター論とか最近の動きはある程度読んできたが、しっかり学んでこなかった通史的な理解の足がかりになったと思う。2024/03/03

hirokoshi

0
読み上げ機能使用。PKさんとダースさんが「台湾の選挙がおもしろいらしい」と「台湾ナンデス」やってたのは2024年の1月か。香港の話もちらっと出てきて、最近 映画「トワイライト・ウォリアーズ」きっかけで香港の本を読み出したこともあって、こちらでも中国の政治の複雑さに触れて なるほど台湾ナンデス、今になって観たい…。2025/04/22

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