内容説明
「梅枝」から「夢浮橋」まで。明石から戻った光源氏は、太上大臣に昇進し栄華を極める。しかし、最愛の紫の上が死を迎えたことにより、この世はまぼろし――とたちつくす。そして、源氏亡き後、二人の貴公子薫と匂宮に物語は引き継がれ――。田辺聖子が綴る、華麗な王朝絵巻。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
うなぎ
16
光源氏の次の世代の薫と匂宮が中心の宇治十帖は、女性達の苦しみがしんどいドロドロしたメロドラマで、続きが気になって読み出したら一気に200ページくらいペロッといけた。いつか宇治に行こうとなったけど、薫も匂宮も自分の今の感覚からすると生理的に受け付けないクソ男共だった。ぐだぐだして後先考えずの行動のせいで女の人達を悲しませて。特に浮舟が二人の男達たちに翻弄されて川の流れにグルグル流される頼りない小舟そのままで可哀想でしょうがなかったけど、最後は行動して彼女なりの幸せにたどり着けてよかった。2024/03/24
みやび
9
下巻は源氏の晩年や源氏亡き後の子供世代の物語。自分の知っている源氏物語の知識は全て前半だったので読み終えてようやくこの長い物語の全貌を簡単ではあるが知る事が出来た。初恋の雲井雁と結婚して尻に敷かれる夕霧や柏木の女三の宮への苦しい恋、最後の宇治十帖での狂おしいまでの薫の大君への一途で激しい恋情など読みどころが盛りだくさん。あなたが一番だと言いつつもすぐにまた他の若い美しい女に夢中になる男達に憤りながらも源氏物語ってこんなに面白かったのかと今更ながらに魅了され読了。2024/03/17