内容説明
自傷は、苛酷な状況を生き延びるための行動であるが、皮肉にも、繰り返されるたびに少しずつ死をたぐり寄せてしまう。著者は、自傷に関する豊富な臨床経験と研究知見にもとづいて、従来、演技的・操作的行動とされてきた自傷概念を否定し、「アディクションとしての自傷」という新しい作業仮説を提唱し、自傷に対して積極的に介入することの重要性を主張してきた。本書は、多くの援助者に自傷と向き合う勇気を与えてくれるであろう。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ネギっ子gen
64
【自傷は生きるために必要な行為だが、繰り返す中で嗜癖化し、最終的に自殺行動へと傾斜する】少年鑑別所の男子入所者への聞き取り調査などに基づき、演技的・操作的行動とされる自傷概念を否定し、自傷に対して積極的に介入する重要性を説く書。<本研究における若年の男性自傷者の人生は、多くの痛みに満ちているように思われる。幼少時より様々な暴力に曝露され、周囲との齟齬のなかで自尊心に傷を負いながら、自分や他人に暴力をふるうものといったイメージである。彼らはアルコールや薬物を乱用し、そしてしばしば漠然と死を考えている>と。⇒2026/01/10
まいこ
8
自傷行為の始まりは、よく言われるような他者を操作したいとか注目されたいという目的からではなく、不安や緊張等の不快感情への対処として一人でひっそり行われるという。そうして嫌な感情に麻酔をかけることを覚えるうちに嗜癖化しエスカレートし、やがて「切っても切らなくてもつらい」という状況になるという。その頃には家族に知られることになり、結果的に家族は巻き込まれ操作される。本人も、始めて家庭内でのパワーを手に入れる。しかし家族も周囲も何度も繰り返される自傷行為に次第にうんざりしてきて、2015/06/07
ひろか
3
著者の論文集。反社会的行動との関連を考えるものが多い。 質問紙法による調査からまとめた論文が多い。2011/02/06
HolySen
2
現代の精神医学界における「自傷」への偏見に対して、海外の研究や統計分析、臨床経験を駆使して一石を投じている本。「自傷」についてリストカットが重視されてしまうことへの反論や、自傷は他者を操作するためのものではない場合が多いという主張は鋭い。自傷と解離、自傷と嗜癖、自傷といじめ、自傷と自殺、自傷とボディ・モディフィケーションなど、様々な変数を自傷と関連づけて調査研究している。ただ、論文集なので同じ記述が何度も出てくるのがちょっと。「10代での自傷挿話が将来の自殺リスクを数百倍に高める」って話出てできすぎワロタ2016/09/07
Ken Aura
2
名著。自傷に対する治療指針のガイドとなるであろう一冊。2015/03/05
-
- 電子書籍
- シックス・ボルト(2)




