内容説明
疲労することが恥とされてきた欧米では、疲労の研究はタブーとされ、結果として、日本が世界の疲労研究をリードしてきた。しかしいま、うつ病や新型コロナ後遺症によって、疲労は世界共通の大問題となってきた! どうすれば科学的なアプローチができるのかもわからなかった疲労研究において、疲労の度合いを正確に測定する方法などを開発して世界のトップランナーとなっている著者が、そもそも疲労とはなにか、ヒトはなぜ疲労するのか、疲労を起こすメカニズムはどのようなものかを説く、かつてなかった疲労を科学する本!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
よしたけ
62
疲労のメカニズムを知るべく手に取ったが、医学的な説明が多く少々難解かつ退屈に感じる記述も多かった。疲労はいわゆる疲労感(感覚的なもの)と疲労(eIF2αのリン酸化による細胞の障害=体の反応)に分けられるとして、本書では主に後者のメカニズムを掘り下げていく。一般的に我々が目にする薬品や食品は「疲労感」に効くもので「疲労」へのアプローチは容易でない由。興味深かったのは、新型コロナ後遺症は脳の炎症が原因であるため、症状がよく似ている慢性疲労症候群の解決突破行になる可能性があるという点。 加えて(コメントに続く)2024/12/06
なかしー
58
【燃え尽きやうつ病関連本】なぜ私たちは燃え尽きてしまうのか?→弱さ考→本書。精神や心理学的アプローチは正直頭打ち感があったので、別視点のが欲しかったので本書を取る。そもそも疲労ってなんだ?を微生物学(ウイルス学)的視点から考える。疲労医学研究の第一人者。この方は、免疫力が落ちると口内などに出来るヘルペスウイルスが専門でそこから、徐々にうつ病や疲労のメカニズムはここまで解明していく流れ。物語性としても面白く読み物としても◎その反面、簡単な本ではなくガンガンに免疫系用語出るので読み手も頑張らないと難しいかも?2025/05/24
Rie【顔姫 ξ(✿ ❛‿❛)ξ】
33
「疲労とはなにか すべてはウイルスが知っていた」というタイトルとブルーバックスが好きだったので手に取った。「疲労」と「疲労感」の違いから、生理的な疲労vs病的な疲労、病名から誤解されやすそうな慢性疲労症候群から、疲労が一番の主訴になるうつ病、そして新型コロナ後遺症まで話が広がって多くの人の興味を引く内容。一方、うつ病の原因となる遺伝子を発見した先生の話だけあってなかなか高度。この本の結論として、「疲労とは脳の炎症」で、うつ病もしかり心因性ではないということを理解するだけでも価値のある読書だった。2024/03/03
ばんだねいっぺい
33
家庭・学校・会社に疲労をモニタリングできる機器が開発されたらすぐ置きたい。疲労と疲労感の違い。「そんなに辛かったらやめればいいじゃん」と思うが本人は脳内炎症で正常な判断力を喪失している。sith-1から、人類の物語が出てくるとは、不安の強さがその解消を目的に攻撃へと転ずる。犯罪学の発展へもこの遺伝子は寄与しそうだ。2023/12/23
ゲオルギオ・ハーン
32
「疲労」と「疲労感」が違うことが分かっただけでも本書を読んでよかったと思った。というのは、仕事が本当に好きで鉄人のように四六時中高い質を維持して仕事をする人がある日突然倒れるなどするのはなせだろうかという個人的な疑問に対する回答をもらえたようだった。「疲労」はストレス応答による細胞停止や細胞死。「疲労感」はストレス応答によって生じた炎症性サイトカインによるもの、しかも強すぎるストレスは炎症性サイトカインを抑制するのでとてつもない負荷がかかると疲労感が消えて、身体がボロボロになっていくということになる。2025/01/11
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