内容説明
EV(電気自動車)全盛の時代が目前に迫っていた。大手自動車メーカー・トミタの社長、村雨克明は、後世に残るガソリンエンジン車として、トミタの最高級車種「エンペラー」の新型モデルの開発を決意する。村雨は、イタリアの老舗自動車メーカー・ガルバルディで働く篠宮凛にプロジェクトリーダーを打診するが、凛からはある条件が。それは新型車の開発のみならず、EV時代のトミタを救うことになるかもしれない、前代未聞の提案であった。
日本車の輝かしい歴史の記念碑として、そしてその未来のために、自動車に人生を捧げた者たちの挑戦が始まる。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
188
楡 周平は、永年に渡って新作をコンスタントに読んでいる作家です。前作に続いて今回も自動車業界、オートクチュールの超高級車話でした。普通のEVに関しては、中国の独擅場なので、 日本のメーカーには、太陽光パネルの発電だけで走られるEVを世界に先駆けて開発いただきたい。 https://kadobun.jp/reviews/review/entry-83356.html2024/01/13
ゆみねこ
66
ガソリン車からEVへの転換期、大手自動車メーカー・トミタは、後世に残る最高級ガソリン車「エンペラー」の開発に取り掛かる。あまり関心のないジャンルなので、サクッと読了。2024/02/06
かんらんしゃ🎡
49
アップルがEVカー開発中止。最近じゃEV市場減速って見出しをよく見る。いずれメインストリームになるんだろうけど、買うにはまだ早いってことか。そんな中で読んだだけにEV一色の社内スタンスには少し違和感があった。経済小説って読む時期を間違えると世情とのズレを感じてしまう。楡氏とか真山氏とかの苦悩を勝手に思いやる。2024/03/09
あみやけ
46
近未来を予言し、夢があり、少しうまくいきすぎ感がある。どれも楡さんらしい。自分は車にあんまりお金を掛けないタイプですが、おもしろかったし、勉強になりました。それにしても世の中は刻々と、そして劇的に動いているんですね。この流れについていけるか、正直なところ、不安にもなります。でも、この年齢だからこそ、置いていかれないで、ついていかないと。★4.52024/04/03
hirokun
39
★4 楡周平さんは、私の好きな作家さんで、新作を中心に読んでいる。今回の作品も、ビジネス小説であるが、日本の産業界が直面している大きな変換点に対する一つの方向性を示している。現実のトヨタ自動車の採用している方向性とは違っているが、高付加価値路線は非常に重要な選択肢だと思う。楡さんは、今後日本の抱える問題に関して様々な解決策を提示しており、その発想の豊かさには感心する。課題先進国である日本の警鐘を鳴らし、問題を先送りすることなく、政官民一体となって課題に取り組む国に一刻も早く変わる必要がある。2024/01/18