内容説明
「夢の田舎暮らし」を求めて父が突然会社を辞めた。いじめにあい登校できなくなった小学五年生の雪乃は、父とともに曾祖父母が住む長野で暮らしを始める。仕事を諦めたくない母は東京に残ることになった。胸いっぱいに苦しさを抱えていても、雪乃は思いを吐き出すことができない。そんな雪乃の凍った心を溶かしてくれたのは、長野の大自然、地元の人々、同級生大輝との出会いだった――。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
中玉ケビン砂糖
90
毒でも薬でもない話とまでは言わないが「シンプルだが割とフクザツでもある話」。「俺、農業やろうと思う!」と言い出した瀬尾まいこ系父親をさりげなく別室に連れていき、神妙に「何かあった?」と気遣えるほど子どもはタフじゃない。クラスでの不和のせいで不登校気味な自分への慰め? 忙殺される仕事に疲れた大人の一過性の気まぐれ? とはいえ、「このまま消えちゃったほうがいいのかな」というニヒリズムの極北へ溺れるほどにヤワでもない。意外と忘れられがちだが、人は年齢問わず2023/12/22
ぼっちゃん
49
中学入試など入試問題によく出題される作品ということで読んだ。いじめにより不登校となった小学5年生の少女が、父と父の田舎で暮らし居場所探しをする物語。母親は仕事のため東京に残ることにしたので、家族がばらばらになったのは自分のせいではないか、学校へ行けないのは甘えでははないかなど周りからの声を聴き、自分で考え成長していく姿が良かった。2025/05/02
布遊
39
初村山由佳さん。5年生の雪乃は学校に行けなくなってしまった。父航介は、祖父母が住む山村に移り農業をする決意をするが、付いてきたのは雪乃だけ。母は仕事のため別居することに・・雪乃は学校に行けるようになるのか?家庭菜園をしているわたしにとって、参考になる内容もあった。母のような、二重生活もいいなぁ。2024/07/17
JADE
13
図書館のおすすめコーナーで、ふと手にした本。小5の雪乃がいじめに遭い、学校に行けなくなる。父の故郷の山里に引っ越し、家族、地域の人々、友達の支えで成長し、自分の意志で一歩を踏み出せるようになる。「西の魔女が死んだ」と似てるけど、土の香りとほんわりした温もりが心地よい物語だった。「自分の好きなように、やりたいように、いっくらだってわがままンなっていいだわい」ひい爺ちゃんの武骨な言葉が沁みた。村山さんは「二人キリ」しか読んだことがなかったので、振れ幅の大きさにびっくりしたし、他の作品にも興味がわいた。☆3.52024/05/30
なぎかぜ♂
10
おいコーや、全ての雲は銀のシリーズに繋がる、人生一休みしている主人公とその周りの優しい人達の物語。就農やイジメも題材にしていて、現在らしさもありつつなのが良いところ。一番印象に残ったのは、主人公が、実は周りのみんなからずっと優しく見守られていた事に気づいた事。こういうの、やっぱ村山さん好きですよね。自分の好きな村山節です。 2024/04/29