内容説明
安土桃山時代に茶の湯という総合芸術を創出した千利休。秀吉に「内々の儀」を一任されるほどの厚い信頼を得たが、その秀吉によって最期は自死に追い込まれる。その裏には何があったのか? 牧村兵部、瀬田掃部、古田織部、細川忠興という利休七哲に数えられる高弟たちによって語られる利休と秀吉の相克。「茶聖利休」の実像に迫る連作短編集。
感想・レビュー
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coldsurgeon
4
人は豊かさよりも、安んじて暮らせることを求める。茶の湯の力で人の心に巣くう猛りを抑え、世を静謐に導くことを目論んだかもしれない千利休を、その高弟や秀吉との関係性で描く物語。利休の茶は政治と共に世に出、政治によって抹殺されたが、それも利休の思惑であったか。茶の湯、侘茶は理解しがたいく難しい。創意を具現化したものが作意であり、その作意が、どれだけ見る者の心を動かすかで茶人の価値が決まる世界は、私には程遠いところだと思った。創意なきところには作意はない、そして私には創意は乏しい。2024/01/17