内容説明
貧困家庭に育ち、義父から虐待を受けている高校生ビリーは、劣悪な環境から逃れるため、プロのアメフト選手になろうともがいていた。だがシーズンが始まるまさにその日、自宅で義父の死体が発見される。容疑は、前日に義父と喧嘩していたビリーに向くが……。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ちえ
33
23年МWA最優秀新人賞受賞作。解説によるとアメリカでは今、差別、貧困、暴力といった社会の暗い面に目を向けた南部ノワールというジャンルが流行っているそうだ。自身も貧困と暴力からアメフトと信仰で救われたと信じるアメフトコーチが、高校の有望なアメフト選手である主人公を悲惨な環境から救おうとする話しなのだが、救いのない最後には泥沼に引き込まれるよう。作者自身がアメフト選手からコーチを務めるとのこと。2024/04/21
まぶぜたろう
20
ダメな人しか出てこない、ミステリとしての体裁が整ってない、キリスト教ネタが唐突、お前は金八先生か、などお話自体はつまらない。しかしそれがどうでも良くなる。一章一章が一つの短編のようで、ホークス的なシーン主義とでもいうか、なぜか読ませる。情景描写を排し感情のみを綴る切れ切れの文章にも慣れる、いや、結構いいんじゃんと思い始める。やがて短編は一つにまとまり、しょーもない真相が明かされ、それはひたすらにしょーもないのだが、なぜかやけにサスペンスフルで盛り上がる。決して傑作ではない。でも素晴らしい。(◯◯○●●●)2024/02/04
みみぽん
13
23年NWA最優秀新人賞受賞作。とにかく全編が灰色の空気と低音ラップ音に覆われているかのように暗い。ビリーは喧嘩っ早い気質を持つ貧困層のアメフト選手。義理父への鬱憤、一握りの夢、裏切りと血なま臭さがゆらゆらと綴られていく。アメリカン・ドリームの華々しさとは裏腹に学生である彼らへの人種差別、貧困、暴力はいまも憎々しいほど日常に潜んでいる。ビリーと同じ辛い幼少期を過ごしたコーチであるトレントだけがキリスト教に基ずく慈愛を見せるのもアメリカ的。ただー著者が新人だからか文体もたどたどしく個人的にはいまひとつでした2024/03/23
石
6
いつか来るとわかっている破滅をまだかまだかと思いながら、いつの間にか読み終わっていた これはこれで一つのけりの付け方なのだろうか 暗く閉塞感に満ちた雰囲気、先の見えない未来にもがき苦しむ人物は良く書けていた2024/02/03
ヨッシー
3
新刊7冊目2024/03/29