内容説明
俺は、強く気高く、そして微笑むと誰よりも可愛い初恋の人――夜咲美彩に幾度となく告白をしては、毎度玉砕している。
そんな諦めの悪い俺の前に立ちはだかるのは、夜咲の親友・日向晴。そして肝心の夜咲はいがみ合う俺たちを微笑ましげに眺めている。こんなちょっぴり変わっているけど平穏な俺たちの日常は、とある一つの“誘い”をきっかけに徐々に崩れ始める。
「あたしのこと、全部好きにしていいよ。……美彩の代わりに」
潤む目。触れる柔肌。二人きりの部屋の中、熱に浮かされたような表情で迫ってきたのは、友達だったはずの日向で――!?
一途な初恋と抗えない欲望、二つの間で揺れ動く恋物語開幕。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
よっち
30
自分を変えるきっかけをくれた初恋の相手・夜咲美彩に幾度となく告白をしては、毎度玉砕している高校生・瀬古蓮兎。彼の前に立ちはだかってきた美彩の親友・日向晴と関係を持ってしまう青春小説。毎回蓮兎の告白をにこやかに受け流す美彩と、彼女の親友で蓮兎を目の敵にする晴という、一見微笑ましく見える三人の構図。しかし人知れず抱えてきた想いと、少しずつ変わる美彩と蓮兎の関係に焦燥を募らせてゆく晴視点ではまた違った一面が見えてきて、不器用で密かな関係が変わってゆく三人の関係にどう影響を及ぼしてゆくのか、今後が気になりますね。2023/12/03
和尚
16
うん、これは面白かったですね! 主人公がきちんと描かれていて、ヒロイン二人も可愛い。それぞれの心情をそれぞれの視点からで表現し始める中盤からが特に好きです。 理由付けもきちんとあって文章も安心して読めてリズムも良いので、スルスルと読み終えてしまいました。 ハーレムとも不誠実な愛とも違う、三人の関係性が良かった。後半から最後の終わり方でタイトルから受ける印象は変わる気がします。願わくばこの物語がハッピーエンドとなる事を! 僕は読んでみて好きでした、興味ある方は是非お薦めです。2023/12/02
真白優樹
13
中学時代に恋心を抱いた少女と同じ高校に進学した少年が、高校になって友人になった少女に迫られ、始まる物語。―――貫きを止める、譲れぬ思い。それは青春の情動として。 好きになった、なってしまった。だからこそ欲しい、自分だけを見てほしい。そんな、自分でも制御できぬ気持ちが迸っている物語であり、甘いよりも酸っぱさのある、ある意味で心痛くなりそうな青春が繰り広げられる物語である。果たしてこの先、揺れ動いてのめり込む先に待っているのは。別の関係性への没入か、それともその関係の破滅か。 次巻も勿論楽しみである。2023/12/04
TERU
12
三角関係としては結構ベタな、主人公&初恋ヒロイン&初恋ヒロインの親友という3人の恋の矢印がどうしようもなく絡み合っていく感じの青春恋愛作品。 不純と純愛が混在している絶妙な距離感があるメイン3人の関係性が凄く良い。どんどん恋の深みにハマっていく心理描写や、互いの気持ちを知らないからこそくる無邪気な行動で抉られていく感覚。この3人のシチュエーションこそ良くあるものですが、その描き方と変化していく過程の描写が滅茶苦茶上手くて好き。 2023/12/22
rotti619
11
中学時代から好きな初恋の相手、夜咲美彩へ毎日告白してはスルーされている瀬古蓮兎が、美彩の友達・日向晴から身代わりのような形で迫られるというお話。オーソドックスな三角関係と思いきや、ものすごく難しい距離感で描かれている。告白をスルーしていながら蓮兎との学生生活を楽しんでいる美彩、そこに絡む晴の真意等、3人の立ち位置が2人が思う関係ともう片方(蓮兎と美彩なら晴)から見た関係に微妙なズレがあり、それが絶妙な距離感となっている。本筋的には不純モノだが、一言で表現できない複雑な三者関係が楽しめるようになっていた。2023/12/14