内容説明
歴史には裏がある。古文書を一つずつ解読すると、教科書に書かれた「表の歴史」では触れられない意外な事実が見えてくる。明智光秀が織田信長を欺けた理由、信長の遺体の行方、江戸でカブトムシが不人気だった背景、忍者の悲惨な死に方、赤穂浪士が「吉良の首」で行った奇妙な儀式、漏洩していた孝明天皇の病床記録……。古文書と格闘し続ける著者が明らかにした、戦国、江戸、幕末の「歴史の裏側」がここにある。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
鉄之助
362
「古文書ハンター」磯田道史さんのワクワク感がたまらない! 旧家の蔵や骨董店・古本屋などから貴重な文書を掘り出す、その少年のような新鮮な驚きが全編から伝わってきた。特に「幕末維新の光と闇」が、私にとっては秀逸。「コメ日本」圏外にあたる、奄美(サトウキビ栽培)や下北地方(牧畜)には米文化の範疇外の暮らしがあった。米で日本を一括りにしない、磯田さんの「視点」がすばらしい。まさに、教科書には書いていない「裏の歴史」を堪能した。2024/08/24
楽
156
22年。17~22年の読売新聞連載。『歴史の愉しみ方』『日本史の内幕』の続き。帯に歴史には裏がある、闇があると書かれているが暴露という感じではない■ネット上に雑多な情報がコピペされて流布していることには私も危惧■古文書を新聞と同じ速さで読めるとは驚くが、古文書の真贋はどう見究めているのだろう。早くリタイアしてくずし字の勉強をしたい■『感染症の日本史』で読んだ話もあり、江戸時代の経済や医療の水準の高さを改めて認識するが、明治維新後も含めてお上の無能さや民草への無関心はいまと変わらないのかも2023/01/17
まさにい
139
品川駅の駅中書店で見かけ買ってしまった。ちょっと立ち読みをして明智光秀の本能寺の変の理由を読んだのだが、なるほど、コロンブスの卵だったのだなぁと思う。つまり、古文書から光秀の性格を読み取ると、天下人になりたかったからなったと当たり前の結論が出て来る。勿論、信長から疎まれ始めていた事実はあったのが……。一次資料を読み込める磯田さんの力量だなぁ。それにしても、京都の古本屋には古文書が溢れているみたいだ。崩し文字を新聞を読むように読める磯田さんの能力に脱帽!2022/12/14
trazom
138
読売新聞連載の「古今をちこち」を、戦国の怪物たち/江戸の殿様・庶民・猫/幕末維新の光と闇/疫病と災害の歴史に学ぶの4章に分けて収録した歴史エッセイ集。光秀謀反の真相、秀頼の本当の父は誰か、孝明天皇は暗殺かなど、誰もが興味ある話題に対し、磯田先生のアプローチは、一次資料である古文書の解読を通じて真相に迫ろうという正攻法で、空想の中で恣意的に歴史解釈を弄ぶ態度とは対極にある。歴史家としての矜持を踏まえた上で、しかも、こんなに面白おかしく語ることができるのだから、この先生が引っ張りだこなのも納得できる気がする。2024/01/31
修一朗
129
磯田さんの読売新聞連載コラム楽しんでます。各地の古書店に足を運び,そこで昔の人の日記などの一次情報を発掘して解析しそこから積み上げて歴史事案に新知見を加えていく全くもって学者然としたところがとても好印象。歴史学者の仕事の一端を垣間見るようで面白い。こんなに巷の古書店に未解読資料が残存していることにも驚いた。大量処分セールで一括で購入した資料に一級品情報が見つかることも珍しくないとか。忍者の潜入調査は命がけでしかも意外と成功率が低いんだって。面白かったです。2023/01/19