内容説明
20世紀末に連載が開始された2作の長篇小説『日本文学盛衰史』『官能小説化』とほぼ同時期、文芸誌「文學界」に毎回短距離走のように連載された短篇小説群。
明治の作家たちを登場人物とした先の2篇とは真逆の方向で、現代日本にあふれる空虚な賑やかさと残された希望の乏しさを、そして愛と日常を、どこまでも真正面から受けとめ表現しつづける短篇小説が13篇。
『さようなら、ギャングたち』で鮮烈なデビューを飾り、『日本文学盛衰史』で作家としての評価をさらに高めた高橋源一郎の、新たなる転換点としての傑作短篇集。
目次
Mama told me
Papa I Iove you
Mother Father Brother Sister
殺しのライセンス
素数
SF
ヨウコ
チェンジ
チェンジ2
人生
君が代は千代に八千代に
愛と結婚の幻想
鬼畜
この小説の作られ方
解説
年譜
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
フリウリ
6
図書館新刊コーナーから。「日本という国に生きねばならぬ人たち」をテーマにしているとのこと、ストレートに、そのままの小説群でした。テーマへのアプローチが、ここまであからさまがいいのかはわかりませんが、著者後書きで、「Mama told me」(強烈!)は自作朗読会で読む2つの小説の1つであり、「読んでも怒らないでほしい。もう書いてしまったので元には戻せないのだから」と書いていて、覚悟とも抵抗とも、衒気とも屈折ともとれるようで、実際に朗読を聞いてみたいと、強く思いました。72024/02/06
kumoi
3
俺はこれを言ってはいけない。口に出してはいけない。でも頭から消えないし、脳を掠め取っていくし、言えないまま死ぬよりも言って死んだ方が相当マシな人生なんじゃないか。さっきからイジっていたささくれがようやく外れた。これでこれでようやく前に進めそうだ。言葉なんていつもずれていく。俺が本当に思っていることは言葉にできない。現実は常に流れているからだ。ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず。現在の俺はもはや過去の俺ではない。むしろ未来の俺を完了形として想像したときに浮かび上がる過去の可能性が俺なんだ。2025/06/23
ぱーぷる・ばんぶー
1
13編の短編集。著者の作品としては、「さようならギャングたち」等のデビューの頃以来久々に読んだ。軽やかさは変わっていなくて、なんか感動した。2024/01/23
みやったー
0
文体はポップで読みやすいが、薄氷の上を渡るような緊張感のある掌編の数々。足元を踏み外したらどこまで転落するかわからない危険さを感じながら読み続ける感触があった2025/02/28
lsfid
0
高橋源一郎の小説を読むということは、自分にとって国語の課外授業を受けることである。教科書にない文章が自分の脳髄を刺激する。がそれにしても初っ端の『Mama told me』を読み終えて思わず第一声「何なんだこの小説は!」 この手の小説は短編で読むとよりわかりやすいね。所々著者の本音が垣間見れエッセイ的ですらある。著者の毒者であれば間違いなく傑作です。2024/08/17
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