内容説明
成瀬の人生は、今日も誰かと交差する。「ゼゼカラ」ファンの小学生、娘の受験を見守る父、近所のクレーマー主婦、観光大使になるべく育った女子大生……。個性豊かな面々が新たに成瀬あかり史に名を刻む中、幼馴染の島崎が故郷へ帰ると、成瀬が書置きを残して失踪しており……!? 読み応えますますパワーアップの全5篇!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
1688
5つの短篇から構成。5篇すべて成瀬が主人公。今回、島崎は影が薄い。巻頭の「ときめきっ子タイム」では、二番煎じ、柳の下のドジョウという気もしていたが、二つ目の「成瀬慶彦の憂鬱」あたりからは、徐々に成瀬らしさが出てきて、「やめたいクレーマー」からはもう全開の成瀬オーラである。続く「コンビーフはうまい」も何度も笑ってしまう。もちろん、成瀬本人はいたってクールだ。それは巻末の「探さないでください」でも全く同様。つまり、成瀬本人はいたって真剣なのだが、それ故に周囲の普通が浮き上がってしまうという構造なのだろう。2024/10/06
ehirano1
1478
第2弾目にして「成瀬の存在=承認欲求の滅亡」、そんなことがつくづくそして改めて感じられた内容でした。そして「何になりたいかより、何をやりたいか」が心に深く響きました。2025/06/21
キューカンバー
1450
5つの短編から成る連作形式。最後の「探さないでください」が秀逸。これを最後に置くことで全体の完成度が一気に上がりました。この作家の長編も読んでみたいと思わされました。楽しく読了しました。2024/01/31
青乃108号
1447
某「名探偵」シリーズ続編では失望させられたので一抹の不安はあった、成瀬2作目。杞憂でありました。成瀬のその後を活写した短編5編。成瀬の姿を思うと何故か背筋がピンとする気がする。普段はベッドで寝ながら本を読む横着な俺だけど、この本はそんな事は出来なくて、ちゃんと座って読みました。姿勢を正して。1作目で語られた、成瀬の夢が幾つあったかは憶えていないけど、そのうちの1つ、「紅白歌合戦出演」を果たした成瀬。まさか本当に200歳まで生きる事はないだろうけど、まだまだ成瀬のこれからを見届けたい。続編を強く希望します。2024/03/20
starbro
1439
成瀬第二弾は、予測不能な連作短編集でした。オススメは、表紙絵の「コンビーフはうまい」&「探さないでください」です。 次は、京大生になった成瀬あかりの長編を読みたいです。 本書で、近江と遠江の由来を知りました。 https://www.shinchosha.co.jp/special/naruten/2024/02/14