世界史としての「大東亜戦争」

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世界史としての「大東亜戦争」

  • 著者名:細谷雄一
  • 価格 ¥950(本体¥864)
  • PHP研究所(2022/07発売)
  • ポイント 8pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784569852515

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内容説明

本書は「大東亜戦争」を、日本史や日米関係史の視座、あるいはアメリカ政府の視座である「太平洋史観」から解放し、さらには戦前の日本が戦争の肯定を試みた「大東亜戦争史観」からも解放して、国際史の視点から再検討する試みである。例えば中西寛氏は1890年を20世紀の起点に置く歴史観を提唱し、大木毅氏は当初日本よりも中国との関係を重視していたドイツが日本と手を結んだ経緯を綴る。重層的な視点から「複合戦争」の全体像を俯瞰する。 ●細谷雄一[五一年戦争史観] ●中西寛[20世紀史のなかの第二次世界大戦] ●松浦正孝[日本にとって大東亜戦争とは] ●森山優[日米開戦という選択] ●村田晃嗣[ローズヴェルトの世界戦略] ●アントニー・ベスト[イギリスの対日観] ●家近亮子[蒋介石の外交戦略] ●大木毅[ドイツの「転換」] ●花田智之[スターリンの対日戦略] ●宮下雄一郎[ド・ゴールの闘い] ●加藤聖文[戦後の東アジア] ●小谷賢[日米英のインテリジェンス] ●リチャード・オヴァリー[民主主義の「勝利」と限界] ●板橋拓己[ファシズムの浸透と競合] ●森田吉彦[知識人たちの闘い]

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

skunk_c

70
「大東亜戦争」をグローバルに捉えようという雑誌連載の論文にいくつか追補論文を加えたもの。森山優、大木毅など、かなり評判になった研究者のものも含んでいて、しかも論調にも幅がある。基本は波多野澄雄の「4つの複合戦争」という捉え方にあるようだが、イギリス人研究者の捉え方は少し違う面もあり立ち位置の差を感じた。そんなに目新しい話は出てこないが、森田吉彦の「知識人達の戦い」は知らない人も紹介されていたので、興味深かった。こうした各論を束ねた大きな総論を誰かがものしないかなどと、ついついないものねだりをしてしまった。2022/10/18

tamami

55
本書は「先の大戦」の呼称から始まる。「太平洋戦争」でも、「アジア・太平洋戦争」でも、「15年戦争」でもなく、国際史としての性質を重視して「大東亜戦争」と呼ぶべきを諄々と説いていく。といって、所謂大東亜戦争史観を展開するのではなく、わが国が結果的に開戦に踏み切ったことの情勢分析とその是非を、15人の歴史家がそれぞれの視点から述べていて、大変分かり易い。近年、近現代史において、日本だけが世界にあったかのような視野の狭い研究とはおさらばする風潮が出てきて、大変心強い。雑誌『Voice』の掲載論文をまとめたもの。2022/08/13

Isamash

29
細谷雄一慶應大教授が編者の2022年発行著書。編者含め15名が寄稿。ごった煮の印象だが興味深い論説も存在。特に、英国は一枚岩ではなく抗日派と親日派が共存していた事実さえ把握できなかったことに象徴される他国反応の予測の欠如を指摘したアントニー・ベスト・ロンドン大教授、民主主義は繁栄している国のみで機能すると説いたリチャード・オバリー・英エクセター大名誉教授、日本に留学経験のある蒋介石の側から対日戦争を描写した家近亮子敬愛大教授、仏植民地や英亡命地からの抗独運動を記した宮下雄一郎法政大教授の論は新鮮であった。2024/04/16

26
国内外の学者による世界史から大東亜戦争を振り返る本。総括できてない先の戦争を大東亜戦争と称してるけど別に右ではない。インテリジェンスや蒋介石ドゴール等、知らない視点ばかりでとても興味深かった。イギリスの親日派抗日派の論でなぜ日本は他国の反応を予期できなかったのかとアントニーベスト氏が述べられて、なんでファシストと結びつくのかなんで南部仏印駐印して他国から反発が起きないと思えるのかと純粋に疑問に思ってらして、それなってなる。しかもその輸送船の海上護衛を満足にすることもなく、ほとんど沈められちゃうしさ…。2023/09/17

紙狸

20
2022年7月刊行。月刊Voiceに掲載された「先の大戦」に関する専門家たちの論考が主体。出版社主導のプロジェクト。歴史学の各分野で研究が進み、大戦に関する通念とはずれが生じている。それを埋める試みだろう。新書のスペースに寄稿者が15人なので、各人の議論はエッセンスのみという観がある。個人的には、日本も米国の外交暗号をかなり解読していたという話(小谷賢氏)、ムッソリーニは欧州保守層に人気があったという話(板橋拓也氏)などが面白かった。森山優氏は日本の開戦プロセスを「避決定を貫徹できなかった」と分析する。2022/08/03

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