内容説明
一章完結形式の新感覚の歴史大作!
日本古典文学史上の名作を、作家林真理子氏が換骨奪胎。「鹿谷の謀議」「一の谷の合戦」「壇ノ浦の戦い」「大原御幸」など、誰もが興味を惹かれる著名な場面、現代人の心に響く部分だけを抽出して鮮やかに再構築しました。スピード感あふれる展開! 美しい情景描写! さらに、平安時代末期の平家源氏皇室を取り巻く、ドロドロとした抗争に翻弄される人々の内面を、丹念に、リアルに描き出した部分は圧巻!
治部卿局、平清盛、平維盛、平敦盛、建礼門院徳子、二位尼時子、後白河法皇、源義経、阿波内侍と、人物ごとに全九章で構成される本作は、一章完結形式なので、前から順番に読んでも、どこから読み始めても楽しめる仕掛け。これまで「平家物語」には興味はあるけれど、前から長々続く展開に“途中で挫折した”という読者も、本作ではグイグイと引き込まれていくことでしょう。歴史ファン、古典文学ファンのみならず、現代小説のような感覚で楽しめる“令和の平家物語”になっています。
“滅びゆくもの皆美しく…。「平家物語」には日本美のすべてが凝縮している” と語る、林真理子氏、渾身の歴史大作、ここに誕生です!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
178
林 真理子は、新作をコンスタントに読んでいる作家です。 著者版平家物語、200頁強で書くのは無理がある気がしました。海の藻屑に消えたとばかり思っていましたが、壇ノ浦では、平家美女掬いが盛大に行われた模様です(艶)私も参加したかった(笑) 日大の理事長に就任しても、著者の執筆量が落ちないのは、ハードワークをしているからでしょうか❓ それとも片手間だからでしょうか❓ https://dps.shogakukan.co.jp/heikemonogatari2023/12/11
ALATA
53
滅びゆくものは皆美しい・・・「思えば私たちは、死ぬために生きてきた一族だったのではないか」雲の上から壇ノ浦の海を眺める平維盛。戦とはなんと辛いものだろう。貴族社会に溶け込めず武家の矜恃を貫く姿勢が日本人の感性、琴線に触れるのだろう。それにしても後白河法皇、機知に長け政局を動かし生き永らえるところは、ある意味影のジョーカーだな★4※平家物語、吉川版は若い時、途中で挫折した苦い思い出が。治部卿局、平清盛、平敦盛、建礼門院徳子、二位尼時子、源義経と、人物ごとに構成され読みやすかった。林さん、ありがとう。2024/04/24
なお
45
林真理子さんの『平家物語』は戦いの場面は多くはなかった。登場人物を一つの章の主人公にして、滅びゆく者の思いに寄り添う。清盛の奢り、維盛の入水、敦盛最後、二位尼時子の覚悟等が語られる中、印象に残ったのは後白河院と建礼門院徳子の章だった。平家への愛憎はひとかたではないはずの後白河院は、その最後を何処か他人事の様に見ている。平家一門の願いを一身に背負い、高倉天皇への入内と皇子の出産という勤めを果たした建礼門院の行き着いた運命が哀しい。やはり『平家物語』はどの場面を切り取っても、完成された鎮魂の物語なのだと思う。2023/12/23
シフォン
40
和楽に連載された林真理子さんの平家物語。平家物語をきちんと読んだのは初めてだったが読みやすかった。鎌倉に幕府を開いた源氏贔屓なのだが、平家物語でも平清盛はとんでもない暴君に書かれているのですね。昔も今も、権力を持った老いた方が時々とんでもない暴君になるのは変わらないらしい。戦いによって一番被害を受けるのは女性と子供。幼い安徳天皇はおいたわしいし、建礼門院徳子様は、生き続けることしかできなかった。昨年、京都の寂光院を訪れ、建礼門院徳子様が平家一門の菩提を弔って過ごした地を感じることができてよかった。2024/01/16
わんつーろっく
28
何故に今、平家物語なのか?真理子さんの執筆なので、古典が苦手な私でも、きっと読み易く楽しめるかなと思ったのですが・・やっぱり >< 登場人物の多さとおんなじような名前に立ち止まってストーリーを楽しめない。学校で暗記させられた、諸行無常の冒頭だけは未だ、スラスラと口にできる当時の教育には感謝いたします。とほほ (//∇//)2024/02/28