内容説明
19世紀末、欧州で誕生した自動車。1908年にT型フォードがアメリカで爆発的に普及したのを機に、各国による開発競争が激化する。フォルクスワーゲン、トヨタ、日産、ルノー、GM、現代、テスラ、上海汽車――トップメーカーの栄枯盛衰には、国際政治の動向が色濃く反映している。本書は、自動車産業の黎明期から、日本車の躍進、低燃費・EV・自動運転の時代における中国の台頭まで、100年の激闘を活写する。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
trazom
102
歴史的な車種が数多く掲載され、自動車好きには興味深い一冊なのだろう。自動車企業の栄枯盛衰・離合集散も紹介されるが、産業史としての分析という意味では、少し皮相的な内容ではある。省エネ・地球環境・カーレース・自動運転など様々な技術革新の歴史だが、一方で、交通事故でこれだけ多くの悲劇を生み続けていることを思うと、「人を傷つけない」ことにこそ経営資源が集中投入されるべきではなかったのか。T型フォードから120年間ずっと殺人装置を供給しながら、「自動車産業は国家なり」と誇りに満ちて語られる歴史が、空しく悲しい。2024/03/15
skunk_c
59
国際政治学の研究者が趣味の自動車についてその主に戦後史を丹念に語ったもの。大学の講義ノートから抜粋したとかで、随所にその時代の(一般常識レベルだが)政治状況が織り込まれているのが面白い。ティアという概念を用いて自動車生産国をランク付しているのもわかりやすかった。日本をはじめ世界の著名メーカーの小史、コラムでは主要国の公用車が写真入りで紹介されるなど、マニアックな面も。特に中国の最近の動向がとても参考になった。今までの諸国と異なる道筋で、果たしてティア1(世界的供給国)になるのか?今後の展開が気になる。2023/12/09
らくだ
6
自動車の生産能力はその国の国力を反映する。当たりまえのといえばそれまでだが、改めて解説されると納得。 アメリカの自動車産業というとなんとなく斜陽でいまいちなイメージがあるが、かつて、また、いまでもその力は侮れないようです。2024/01/09
ほしの
5
CASEへの言及は少なめ。この本に沿って年表作ると文脈がもっとよく理解できるんだろうなと思った。カーレースについてちょっと興味出た。産業の歴史面白い。2024/05/09
中島直人
5
(図書館)読了。著者は、本当にクルマが好きなんだな、ということが、ひしひしと伝わってくるマニアックな本。2024/04/20