内容説明
「海が似合いませんね」ええ、まあ、と曖昧に微笑みながら、内心は傷ついている――
にゅるりと世界も自分も裏返る、読売新聞人気連載の蛸足的エッセイ。
世界中の人間がみんな私じゃなくて、本当によかった――
「将来、君はちくわ天が好きになるよ」
「ちがうんだ。俺は犯人じゃない。そっくりさんなんだ」
「今日、首にバッタが止まったこと、いつか忘れちゃうのかな」
「隣の家のおじさんが目から赤いビームを出して私の掃除機を壊したから」
(本文より)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ネギっ子gen
89
【「一つの漫画を100回以上読んだ人は、その回数の年齢まで長生きできる」という神様の隠しルールがあったらいいのに】 “蛸の足みたいにあちこちに心と筆を伸ばして書いてゆきたい”という気持ちが込められたタイトル名。装画は歌川国芳「流行蛸のあそび」のコラージュ。著者は、『うる星やつら』の面堂終太郎がお気に入りかなぁ……。<思い出すたびに「ああっ!」と顔を覆いたくなるような、恥ずかしい出来事がある。あの時、なんであんなことを云ってしまったんだろう。どうしてあんなことをやってしまたのか>と。もう…ありまくりです!⇒2024/06/11
itica
84
久しぶりに読んだ穗村さんのエッセイ。病院の待ち時間に読むのにちょうど良かった。にまにましてもマスクが隠してくれるので不信感を持たれることもない。奥様が意外にも味がある方で面白…いや微笑ましかった。柴犬に対する奥様の表現に爆笑。分かる気もするけれど、そんな捉え方をする人はあまりいないように思う。貴重な方を伴侶に選ばれたようだ。しかもお似合い。読んでいると穏やかな気持ちになる。穗村さんのお人柄がにじみ出ているからだろう。 2024/01/16
ふう
66
2023年の読書納め。この本で笑い納め?ができて良かった。140ほどの話の大半に共感し、感心し、ご本人は世間とちょっとずれてるかもと謙遜されてますが、わたしからみると「お主、なかなかできるな」という感じです。子どものもつ独特な感性を楽しみ、若かった頃の友人や世間を懐かしみ、おもしろいだけでなく、ちょっとペーソスもあり、味わい深いノートでした。「妻」も「父」も同じ空間で生活しておられますね。そこに猫も加わってこれから更に楽しい穂村ワールドが広がりそうです。海が似合わなくても大丈夫ですよ。2023/12/27
ぶんこ
63
なんとなく遠ざけていた本ですが、読み始めたら面白くて一気読み。「電車内で隣に座る人がいない」とあって、見た目はどんな方なのでしょうと検索してみたり、奥様が可愛らしくて天然ぽいのにも興味があって、奥様も検索。初めての自費出版歌集を、勝手に好きな人に送りつけたら、室井滋さんからお返事が。蚊がたくさんの庭で対談した時には、穂村さんにたかる蚊をフーフーしながら追い払っていたという室井滋さん。素敵。ウオーキングレベルを「梅」と言う妻。お二人揃って素敵なご夫婦。仲良しなのが伺えるのも微笑ましい。2024/03/11
nyaoko
61
久しぶりの穂村さん。還暦になられていて驚いた。そりゃそうだ、私だって50を過ぎてしまったのだから。猫に魅せられ、猫を追い求め、ついに猫を愛でる生活になられたと言う。おめでとうございます。そして、奥様とのやり取りが本当に面白い。そう思ったの?そう見たの?そうなんだ!と言う発見があって毎日が楽しそう。素敵な夫婦だなぁ。まさに、幸せのおすそ分けを読ませて頂きましたね。2024/03/06
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