内容説明
1910年、ホームズとワトスンがクトゥルーの古き神々と初めて対決してから30年後。闇の勢力に仕えるドイツ人スパイが暗躍し、ヨーロッパが戦争へ突き進む中、海辺のサセックスで隠退生活を送るホームズは、三人の女性の失踪を調査することに。事件の陰には、邪神としてよみがえった仇敵モリアーティがいた!? ホームズは多大な犠牲を払い、最後の戦いに挑むが……。驚異のホームズ×クトゥルー・パスティーシュ、第三弾!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
パトラッシュ
128
ホームズとクトゥルーの邪神との最終決戦は、マイクロフトの死という衝撃的な場面から開幕する。当然ながら「最後の挨拶」が背景のためドイツとのスパイ戦が絡み、ルルロイグ=モリアーティがドイツ皇帝すら操るフォン・ヘルリングとして復活する姿はシリーズのラスボスにふさわしい。彼の容赦ない攻撃で潜水艦により遠く太平洋まで拉致されるが、ワトスンともども老いは隠せないながら知恵と力を振り絞って戦うホームズを息を呑んで見守るしかないリーダビリティは圧倒的だ。終盤やや強引な展開ながら、一級のエンタメの面白さを堪能させてくれる。2023/12/26
sin
61
まさかの大技!最後の最後にあの大物との真っ向勝負が待ち構えているとは思いも寄らなかった。しかも怪獣映画なみの大立ち回りで…正典での重要な人物の殺害という思い切った筋運びから始まり、宿敵にはめられてヘビ人間の生贄からの脱出劇を経て、何やらインスマスを思い起こさせる町を襲う海魔の事件に挑み、またしても虜囚となり…邪神と一体化しルルロイグとなったモリアーティ教授との最後の対決の場所はルルイエ−フングルイ・ムグルウナス・クトゥルー・ルルイエ・ウガフナグル・フタグン、そしていまもクトゥルーは夢見ながら待っている。2024/02/04
ひさか
34
2023年11月ハヤカワFT文庫刊。シリーズ3作目にして最終巻。1作目から30年後、古き神々のエキスパートとなったホームズとワトソンが世界を救う。驚くような事件で始まる魔界ストーリーは、アイデアは面白いのだが、展開が緩やかで退屈。大団円なラストが良い。2024/03/31
BECHA☆
11
クトゥルー・パスティーシュ最終巻。二人は50代後半となりホームズはサセックスで農場を営んでいる。ワトソンが久しぶりにホームズを訪ねるが本人は不在。機嫌を損ねたワトソンが誘拐されるところから物語は始まる。ホームズが年相応(?)に慇懃無礼の度を深めつつも超人的な体力は維持されている。ルルロイグはドイツ軍を隠れ蓑に暗躍し圧倒的な力で新しい神になろうとする。その時にホームズを倒したいと望むのが面白い。序盤の惨劇が一番ショックだった。2024/01/14
ettyan えっちゃん
10
新年一冊目は、クトゥルフもの。三部作の最終巻だったが、これがとても面白かった。ホームズよりは、ラブクラフト寄りでした。いきなり冒頭からとんでもない事になるんだけど、ずーっととんでもない事の連続で、もう言葉もない。 ラストの寂しさ、あと作者の後書きが秀逸。 2024/01/02