内容説明
昭和後期に完成された日本は揺らぎ、崩れ始めている。
日本が、地球的規模で広がってきた自由主義社会を守り、
グローバル・サウスに広げていくリーダーになるために
今、問われるべきこととは――。
歴史的背景、領土問題、台湾有事、経済安全保障、そしてグローバル・サウスの動向まで、元国家安全保障局次長が語る安全保障入門講義。
目次
第1章 日本の安全
第2章 価値観の外交の時代
第3章 グローバル・サウスと自由主義的国際秩序
第4章 安定と安全がもたらす国際社会の平和
第5章 対中大戦略の構築
第6章 台湾有事にどう備えるか
第7章 安保3文書と国家安全保障会議
第8章 新しい戦場
第9章 日本の領土問題と尖閣諸島
第10章 自由主義貿易の未来と地政学
第11章 経済安全保障
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
パトラッシュ
115
どの国もその地政学的位置や歴史情勢の変化、経済や軍事力に応じて自主独立を保つための最適な安全保障政策を模索している。特に核を振りかざして自国の優位を確立せんと望む全体主義国を周囲に複数持つ日本は、厳しいリアルを凝視しなくては国の安全を保てない。にもかかわらず現実より理想を優先して国防を無視して憚らない風潮が、戦後80年を迎えようとする今日なお根強い状況に警告を発する。平和は確かに尊いが、なぜ人類は平和を守れると信じて疑わないのか。今こそ人間性悪説に立った軍事・外交を充実しなければならないと痛感させられる。2024/01/30
よっち
32
歴史的背景、領土問題、台湾有事、経済安全保障、そしてグローバル・サウスの動向まで、元国家安全保障局次長が語る安全保障入門講義。敗戦から55年体制と安保条約で昭和後期に完成された日本。そこから世界情勢の中で日米同盟のあり方も変わって、価値観の外交の時代となりつつある中、複雑な思惑で一枚岩ではないグローバルサウスとの向き合い方、対中戦略をどうすべきか、台湾有事にどう備えるのか、これからの家防衛戦略や新しい戦争にどう向き合うのか、自由主義貿易や経済安全保障に対する考え方など、いろいろ参考になる部分がありました。2023/12/12
Stevie G
3
素晴らしい分析と説得力です。このように実際に政府の安全保障を責任者として、次々起こってくる事案に対処してきた方のお言葉は、素直にお伺いするしかありません。兼原氏のような教授に学生時代にうっかり学んでしまったら、間違いなく国家公務員を目指してしまっただろうけれども、もしそうなっていたら、傲慢さと上から目線で世間をなめた人間になる一方で、現実と理想との狭間でもがき、遊びたくても遊べない立場に苦しむというような、果たして立派な人生を送れたかははなはだ疑問です。2024/04/06
ゼロ投資大学
3
ロシアによるウクライナ侵攻やパレスチナの混乱など世界の安全保障環境は厳しさを増している。日本の周辺には、中国・韓国・北朝鮮・ロシアといった国々が存在し、領土問題を始めとした様々な問題が山積している。日本と周辺国の間に横たわる歴史的な問題を客観的に俯瞰し、現実的な安全保障を目指していく。2023/12/28
ニーチェ is GOD | 基本的人権
1
兼原史観と兼原副長官補時代のはなし真骨頂だった(プロパガンダ要素があることを踏まえた上での感想)2024/03/16